研究課題/領域番号 |
24591952
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
野口 剛 大分大学, 医学部, 准教授 (20264335)
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研究分担者 |
塚本 善之 大分大学, 医学部, 助教 (00433053)
柴田 智隆 大分大学, 医学部, 助教 (20566905)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | テイラード医療 / 効果予測システム / マイクロアレイ / 抗癌剤 / 食道癌 |
研究概要 |
1、抗癌剤効果予測遺伝子の抽出:ヒト食道扁平上皮癌細胞株20株を用いたオリゴヌクレオチドマイクロアレイによる全遺伝子発現レベルとMTTアッセイによる5-FU、CDDPに対する感受性(IC50値)について順位相関解析を行い、順位相関係数が有意(P < 0.01)であり、かつ、遺伝子の発現状態に発現と非発現を仮定した新規統計解析手法により、IC50値の変化と強い関連性が認められた遺伝子を効果予測遺伝子候補として抽出、さらに、Real-time RT-PCRによる遺伝子発現レベルにおいても回帰分析で関連性が確認された遺伝子(P < 0.05)を最終的な抗癌剤効果予測遺伝子候補として抽出した。 2、候補遺伝子の強制発現クローンの樹立:抽出遺伝子のうち複数の候補遺伝子につき、クローニング、さらに発現ベクターへの組込みを行い、作製されたコンストラクトをヒト培養食道癌細胞株に導入し、Real-time RT-PCRを用いたmRNAの発現量及びウエスタンブロット法を用いたタンパク質発現の確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画、1、抗癌剤効果予測遺伝子の抽出、2、候補遺伝子の強制発現クローンの樹立、3、樹立クローンを用いた抗癌剤感受性評価、の内、前者2項目については、ほぼ予定通り計画通り研究が遂行された。一方、樹立クローンを用いた抗癌剤感受性評価については、クローンの樹立に予想以上の時間を要したため、同評価については次年度行う予定であるが、次年度の早い時期に計画は達成される予定である。以上より、交付申請書に記載した研究計画の通り、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1、樹立クローンを用いた抗癌剤感受性評価:各候補遺伝子を過剰発現させたヒト培養食道癌細胞株に対してMTT assayを行い、抗癌剤感受性効果規定遺伝子としての可能性を検討する。予想通りの抗癌剤感受性変化が確認されれば、候補遺伝子の発現抑制を目的としたsiRNAのヒト食道癌細胞株への導入による抗癌剤感受性変化も確認する。 2、抗癌剤効果規定遺伝子の薬剤感受性に関わる分子機構の解明 抗癌剤感受性変化を来たした候補遺伝子強制発現クローンとコントロールベクター導入クローンを用い、オリゴヌクレオチドマイクロアレイによる遺伝子プロファイリング解析を行う。さらに、抗癌剤感受性に差がある強制発現クローンが樹立できれば、このクローン間の遺伝子プロファイルも比較する。この結果をIngenuity Pathways Analysis (IPA)によるパスウェイ解析で解析し、関連遺伝子及び分子機構を明らかにする。 3、抗癌剤効果予測遺伝子群を用いた臨床効果予測モデルの設定(後ろ向き試験) 複数の抽出遺伝子を用いた効果予測については、各候補遺伝子の発現量を説明変数、IC50値の対数変換値を目的変数とした重回帰分析を行うことにより設定する。また、解析には、外れ値を考慮した頑強な重回帰分析を行うために開発された解析ソフトNLRegを用いる。具体的には、食道扁平上皮癌症例(術前5-FU/CDDP療法施行症例を対象)における化学療法施行前の生検癌組織の各候補遺伝子発現レベルを説明変数、臨床効果(化学療法施行後の腫瘍縮小率)の対数変換値を目的変数とした重回帰分析を行うことにより臨床効果予測式を作成し、さらにテストサンプルを用いて予測精度の確認作業を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当無し
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