研究課題/領域番号 |
24591955
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
石神 純也 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90325803)
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研究分担者 |
前村 公成 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30398292)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 化学療法 / 消化器癌 / 遺残 / キャラクター |
研究概要 |
切除不能再発消化器癌に対して抗癌剤の組み合わせによる化療遠隔病変が消失あるいはコントロールされる症例が出現し、これら症例に外科手術を介入することで消化器がん患者の予後が改善されたことを報告してきた。切除された標本中の遺残腫瘍のボリュームにより術後再発のリスクが変化することもわれわれは報告してきた。消化器癌に対する化学療法で治療したものの、腫瘍の残存がみられた症例では、抗がん剤に耐性を示し、これらの微小な腫瘍細胞が術後の再発に大きな影響を及ぼしていることが考えられる。今回の研究ではこれら腫瘍細胞における薬剤抵抗性や癌幹細胞に関連するキャラクター解析や周囲の抗腫瘍免疫機構に関連した分子生物学的マーカーの検索、これら耐性の克服や外科手術の際に、遺残腫瘍を採取し、薬剤耐性遺残腫瘍の臨床治療上の問題点を克服しようとすることが本研究の目的である。 2012年度実施 化学療法後に切除により腫瘍を含む組織標本20例を対象として、新鮮組織標本の凍結保存を行っている。これら症例に対して遺残腫瘍細胞のキャラクター(増殖因子、癌幹細胞マーカー、ケモカインレセプター、リガンド)を免疫組織学的手法で解析し、化療を受けなかった腫瘍細胞をコントロールとして、化療後の腫瘍のキャラクターの特徴を明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化療により腫瘍の縮小を認めるが腫瘍の遺残がある組織標本を外科的に切除し、その腫瘍のキャラクターを多方面から解析したい。解析を行った後、その治療戦略にかかわることが本来の目的であるが、進捗状況はさまざまである。 当初の主たる研究としていた新鮮腫瘍細胞を分離同定し、NOGマウスに移植、薬剤抵抗性、癌幹細胞に関連する因子の解析は順調とはいえない。時間的、人的な制限に加えて、2012年は化学療法後に外科手術に回った症例が少なかったのも一因といえる。 化療前に採取された生検検体同じ患者から得られた2つのセルライン(化療前、治療後遺残)のキャラクターの比較を幹細胞の表面マーカー(CD133、CD44、はFACS解析で、各種増殖因子やケモカイン、炎症性サイトカインの発現はRT-PCRをもちいて解析する検討も同様であった。
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今後の研究の推進方策 |
上記のテーマに追加して以下の研究を継続して行っている。 1)proinflammatory cytokine Il-32の腫瘍内発現と抑制性T細胞の浸潤についての検討食道癌と胃癌症例を対象に腫瘍IL-32の発現を評価し、予後因子としての有用性、IL-32を標的とした治療法の可能性を検討している。胃癌についてのIL-32の発現をmedical oncology誌に2013年に掲載した。また、食道癌と抑制性T細胞の関連性に関する論文を現在投稿中である。 2)HER2陽性胃癌におけるリンパ節、肝転移転移巣での発現、heterogeneityについての検討 HER2陽性胃癌はハーセプチン追加治療の対象であるが、HER2の分布を検討し、治療効果の予測と耐性の克服について検討を行っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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