研究課題
食道がんに対する治療法として、放射線療法や5-FU等の化学療法が実施されているが、その奏効率は未だ不十分である。新規分子標的抗癌剤として注目されるHDAC阻害剤は、放射線照射、5-FUのそれぞれの細胞増殖抑制効果を増強することが知られていることから、HDAC阻害剤OBP-801/YM753、放射線照射、5-FUの三者併用による細胞増殖抑制効果を評価した。昨年度は、食道がん細胞KYSE170でのコロニー形成抑制能評価において、この三者併用は、単剤及び二者併用よりも強いコロニー形成抑制効果を示すことを確認した。今年度は、HDAC阻害剤OBP-801/YM753と5-FUの併用効果に関する分子機構の解析を行った。5-FUの標的分子であり、その発現が5-FUの感受性に影響することが知られているthymidylate synthase(TS)の発現が、OBP-801/YM753処理により抑制されること、さらに5-FUにより発現誘導されるTSもまたOBP-801/YM753処理により抑制されることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
HDAC阻害剤は、放射線照射、5-FUのそれぞれの細胞増殖抑制効果を増強することが知られていることから、HDAC阻害剤OBP-801/YM753、放射線照射、5-FUの三者併用は、単剤及び二者併用よりも強い細胞増殖抑制効果を示すこと作業仮説として、研究を実施した。食道がん細胞KYSE170でのそれぞれ処理やコロニー形成の条件を確立した上で、三者併用のコロニー形成への影響を評価したところ、期待通り三者併用が、単剤及び二者併用よりも強いコロニー形成抑制効果を示すことが確認出来た。今年度は、食道がん細胞でもOBP-801/YM753がTS発現を抑制することで5-FUの効果を増強していることを示す結果が得られた。
食道がん細胞KYSE170でのコロニー形成抑制能評価において、HDAC阻害剤OBP-801/YM753、放射線照射、5-FUの三者併用効は、単剤及び二者併用よりも強い増殖抑制効果を示すことが確認され、食道がん細胞におけるHDAC阻害剤OBP-801/YM753と5-FUの併用効果は、TS発現の抑制を介しているものとなったことから、今後は、食道がん細胞におけるHDAC阻害剤OBP-801/YM753と放射線照射の併用効果の分子機構を明らかにする。
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