研究課題/領域番号 |
24591958
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
藤原 斉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20332950)
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研究分担者 |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
曽和 義広 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70315935)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 食道癌 / 放射線 / 5-FU / HDAC阻害剤 |
研究実績の概要 |
食道がんに対する治療法として、放射線療法や5-FU等の化学療法が実施されているが、その奏効率は未だ不十分である。新規分子標的抗癌剤として注目されるHDAC阻害剤は、放射線照射、5-FUのそれぞれの細胞増殖抑制効果を増強することが知られていることから、HDAC阻害剤OBP-801/YM753、放射線照射、5-FUの三者併用による細胞増殖抑制効果を評価した。 24年度は、食道がん細胞KYSE170でのコロニー形成抑制能評価において、この三者併用は、単剤及び二者併用よりも強いコロニー形成抑制効果を示すことを確認した。25年度は、HDAC阻害剤OBP-801/YM753と5-FUの併用効果に関する分子機構の解析を行った。5-FUの標的分子であり、その発現が5-FUの感受性に影響することが知られているthymidylate synthase(TS)の発現が、OBP-801/YM753処理により抑制されること、さらに5-FUにより発現誘導されるTSもまたOBP-801/YM753処理により抑制されることを確認した。 26年度は、HDAC阻害剤OBP-801/YM753と放射線照射の併用効果に関する解析を行った。食道がん細胞KYSE170において、HDAC阻害剤OBP-801/YM753と放射線照射を併用した場合、HDAC阻害剤OBP-801/YM753のみ、あるいは放射線照射のみに比べて、がん細胞の生存率が低下した。これは、放射線照射により生じるDNA傷害を修復する分子群の発現がHDAC阻害剤により低下したことで、放射線照射により生じるDNA傷害が遷延したためがん細胞の生存率が低下したと推測される。 したがって、HDAC阻害剤OBP-801/YM753、放射線照射、5-FUの三者併用による細胞増殖抑制効果は、HDAC阻害剤が5-FUの標的分子であるTS発現を抑制することと、放射線照射により生じるDNA傷害を遷延させることにより生じていると考えられた。
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