研究課題
基盤研究(C)
従来の検査方法を凌駕する検査法の開発を目標として、RalA, Sui1, NY-ESO-1の血清抗体検出用のELISAキットを作成して血清RalA, Sui1, NY-ESO-1抗体の臨床病理学的意義を検討する。1.初年度である平成24年度は、各抗原1種類を標的とした血清抗体測定系を開発した。2.RalA, Sui1, NY-ESO-1 cDNA の塩基配列をアミノ酸配列に変換し、MHCPred ウェブサイト(http://www.jenner.ac.uk/MHCPred/) を用いてクラスII抗原部位を検索し、その領域を含むペプチドを人工合成する。アミノ末端にビオチンを付加しておき、予めアビジンを固相化したプレートを用いて合成ペプチ ドを特異的に結合させ、洗浄後に血清抗体と反応させ、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体を用いて血清抗体レベルを測定する(ELISA)。健常者血清に比べ患者血清の抗体レベルが有意に高いペプチドを選択する。解析する患者血清は、平成23年度までにあらかじめ倫理委員会承認の臨床研究として、治療前後の食道癌患者から文書により本人の了解を得てサンプリングした血液を解析に用いた。3.作成したELISAキットの性能試験を実施し、健常者の基準抗体価を設定した。健常者血清におけるELISA測定レベルの平均値+3SD をカットオフ値として、陽性と診断される患者血清中のそれぞれの抗体において10%を上回った場合に診断用キットとして有用であると判断した。4.バキュロウイルスを用いてSEREX抗原ペプチドを精製して血清SEREX抗体検索のためのELISAキットを作成した。作成したELISAキットの性能試験を実施し、健常者の基準抗体価を設定した。
2: おおむね順調に進展している
研究計画4年間の初年度であり、当初計画に基づく研究計画を全て終了できた。
研究計画4年間の初年度であり、当初計画に基づく研究計画を全て終了できた。しかしながら、血清中のRalA抗体ならびにSui-1抗体の陽性率は、当初期待したレベルの陽性率に達していない。それぞれを単独で新たな腫瘍マーカーとして利用できる可能性は少ないと判断された。当初計画通りに、複数の血清抗体マーカーを併用することで、従来の抗体マーカーを凌駕する検査方法として開発できる可能性がある。次年度以降、さらに症例数を増やして解析を進める予定である。複数の抗原を標的とする血清抗体測定系を開発する。はじめに、研究対象の4抗原分子のうち最も陽性率の高い抗原と2番目に陽性率の高い抗原との組み合わせ実験を行う。複数の抗原を同時標的とした場合にはそれぞれの抗原エピトープが互いに干渉するためモル比を0.1倍から100倍まで各種比を検討して最も相加効果の高い配合比率を検討する。同意取得すみの血清サンプルは、食道癌患者500名程度をデータベース化している。また、文書により了解を得た健常者の血清をコントロールとして用いる。健常者は、癌検診において固形癌を有していないと診断された50歳以上の100名である。解析対象の食道癌症例の血清は、治療前後に採取し、血清分離後、マイナス80度にて研究開始まで凍結保存されたものを使用する。食道癌治療前後・手術前後の血液サンプルは、治療あるいは手術前、治療あるいは手術後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の4ポイントで採血した検体である。
平成24年度の研究進捗状況は、ほぼ計画通りであり順調に進行している。ただし、平成24年度は一回のサンプル数を多くし解析回数を少なくしたため、結果として解析費用に伴う消耗品代金の節減となり支出が少ない傾向であった。平成25年度は、ほぼ計画通りの執行となるものと計画している。
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PLoS one
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10.1371/journal.pone.0060297
Journal of thoracic oncology
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