研究課題/領域番号 |
24591961
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
島田 英昭 東邦大学, 医学部, 教授 (20292691)
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研究分担者 |
大嶋 陽幸 東邦大学, 医学部, 助教 (00424705) [辞退]
日和佐 隆樹 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30260251)
松下 一之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90344994)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SEREX / RalA / p53 / Sui1 / 食道癌 / 血清抗体 / 腫瘍マーカー / NY-ESO-1 |
研究実績の概要 |
従来の検査方法を凌駕する検査法の開発を目標とし、RalA, Sui1, NY-ESO-1の血清抗体検出用のELISAキットを作成して血清RalA, Sui1, NY-ESO-1抗体の臨床病理学的意義を検討する。 研究対象は、あらかじめ倫理委員会承認を得ている臨床研究として治療前後の食道癌患者から文書により本人の了解を得てサンプリングした保存血液である。初年度である平成24年度に血清抗体測定系を開発した。健常者の基準抗体価を設定した。健常者血清におけるELISA測定レベルの平均値+3SD をカットオフ値として陽性とした。平成25年度ならびに平成26年度には、開発した測定キットを用いて保存検体の解析を行った。保存血清サンプルのうちステージ1から4の合計172症例について評価を行った。その結果、それぞれの血清抗体陽性率は、血清RalA抗体=14%, Sui1抗体=8%, NY-ESO-1抗体=32%であった。各症例における陽性率はおおむねステージが進行すると高くなる傾向があった。組織の免疫染色を行うために、保管血清サンプルのある手術施行患者を選択して、切除標本から組織アレイを作成した。免疫染色の条件設定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の最終段階として、4種類の抗原を同時標的とした場合の相加効果を検討した。食道癌患者血清を用いて、血清RalA, Sui1, NY-ESO-1, p53抗体の存在の有無をWestern blottingならび に平成25年度までに試作した血清抗体検出ELISAキットにて検討して両者の整合性を検証した。深達度、リンパ節転移、遠隔臓器転移との相関関係を検討した。また、放射線・化学療法施行症例においては、治療感受性との相関関係を検討する。再発症例においては、再発時期、予後との相関関係を検討する。臨床病理学的検討においても血清RalA, Sui1, NY-ESO-1, p53抗体が独立した 危険因子あるいは予後因子であるか否かについて検討した。抗体プロファイリングと臨床病理学的因子との相関関係を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
・血清中のRalA抗体ならびにSui-1抗体の単独での陽性率は期待したレベルより低いため、当初計画通りに複数の血清抗体マーカーを併用することで従来の抗体マーカーを凌駕する検査方法として開発する予定である。 ・4年目はさらに症例数を増やして解析を進め、同時に切除標本の免疫染色との相関関係を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
同時に血清抗体を解析する手法を簡略化して、1回あたりのコストを削減した結果、1サンプルあたりの経費を節減することができた。臨床病理学的因子との相関関係の解析には、より多くのサンプルを解析することが重要であるため、計画していたサンプル数よりも多くのサンプルを次年度に解析することとした。そのため、若干の研究経費を次年度へ繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
3年目研究費の残額を含めて、最終年度である4年目は、解析対象症例をさらに増やす予定である。同時に切除標本の免疫染色との関連性を検討する。同意取得すみの血清サンプルは、食道癌患者200名程度をデータベース化している。また、文書により了解を得た健常者の血清をコントロールとして用いる。リンパ節転移あるいは再発形式などの詳細な臨床病理学的因子との相関関係を検討する予定である。また、放射線治療あるいは抗癌剤治療に対する治療効果との関連性についても解析する予定である。
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