研究実績の概要 |
1)培養食道癌細胞へのALA集積の検出及び細胞増殖抑制効果の検討2)正常食道上皮細胞と培養食道癌細胞へのALA集積および細胞死誘導の比較検討3)マウス皮下移植腫瘍へのALA集積の検出及び抗腫瘍効果の検討4)光線力学療法に用いる既存薬剤(フォトフィリン、レザフィリン)との優位性あるいは非劣性の比較検討5)マウス同所性移植腫瘍へのALA集積の検出及び抗腫瘍効果の検討6)蓄積したデータをもとにALAを用いた食道癌に対する光線力学療法についての臨床研究プロトコールの作製 1)について、培養食道癌細胞(TE-4, TE-8)を用い、ALA投与後のLED光照射による細胞増殖抑制効果について検討したところ、TE-8についてはLED照射後24時間よりALA濃度依存性に増殖抑制効果が見られた一方、TE-4では明らかな増殖抑制が見られなかった。TE-8について、LED照射のみ、もしくはALA投与のみでは細胞増殖への影響はみられなかった。 2)について、フローサイトメトリーを施行したところ、明確な細胞周期の変化・細胞死の変化を認めなかった。ウエスタンブロットでの細胞周期に関わる蛋白発現変化を検討したところ、p53, p21に関してはALA+LEDにて明らかな蛋白量の変化を認めなかった。 3)・5)及び6)に関し、担癌マウスを用いた実験が基礎的データをまとめるには至らず、検討不十分であった。 4)について、フォトフィリンは既に欧米を含め食道がん治療の臨床応用の報告があり、早期食道癌症例の80%以上で有効な抗腫瘍効果が得られている。また、進行食道癌の化学放射線療法後の遺残に対する救済療法のとして、60%程度の抗腫瘍効果を認めることも文献上報告がある。ALAの食道癌に対するPDTも、それらに匹敵する有効性が期待されるが、今回動物実験での結果が得られなかったため、比較検討には至らなかった。
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