研究概要 |
固形癌の幹細胞マーカーとして重要視されているCD44に着目し、下記のCD44発現量の異なる胃癌、大腸癌細胞株を購入し、培養を開始した。KatoIII, MKN45, MKN7, MKN74, MKN28, AGS, HCT116, HT29。細胞培養に用いるウシ血清のLot checkを行い、細胞増殖が安定し、実験に適切なものを選定し、一定量を確保、購入した。 細胞表面マーカー、細胞周期解析、細胞内活性酸素量測定目的で、フローサイトメータの調整、実験条件設定等の準備を行った。 新たに低酸素培養器を購入、セットアップし、低酸素状態を確認し、細胞の培養状況を確認した。 食道癌臨床検体よりRNALater試薬を用いて、total RNAを抽出した。ガレクチン-7発現をReal-time PCR法で検討した結果、食道癌において正常食道粘膜より発現低下傾向にあることが明らかにした(癌学会2012発表)。ガレクチン-7発現調整メカニズムを調べる目的で、食道癌臨床検体よりゲノムDNAを抽出し、エピジェネティック制御のうちプロモーターメチル化の関与を予想し、メチル化特異的PCRに用いるプライマーを設定し、条件設定を行った。実験のpositive controlには、正常皮膚組織、また培養細胞としてはHeLa細胞を使用した。 胃癌、食道癌術前化学療法症例における化学療法効果判定を実施し、臨床検体を用いた抗癌剤感受性メカニズムを調査する準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
ガレクチン-7発現に及ぼすエピジェネティック制御の影響についてさらに検討を進める。 固形癌の幹細胞マーカーとして重要視されているCD44に着目し、CD44 standard isoformとCD44 variant formをRT-PCRで検出すべく、primerを設定し、消化器癌細胞株を用いて各々の発現程度を確認する。各細胞株の5-FU, CDDP等の抗癌剤感受性を検討する。 常酸素、低酸素培養条件で、消化器癌細胞株におけるCD44, チオレドキシン、種々のガレクチン発現と抗癌剤感受性の程度、細胞周期、細胞内レドックス、ミトコンドリア機能(膜電位)をフローサイトメーターで検討する。 消化器癌の手術検体におけるCD44や種々のガレクチンの発現を調べる。
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