研究課題/領域番号 |
24591967
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
崎浜 秀康 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (50533676)
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研究分担者 |
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510) [辞退]
神山 俊哉 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80322816)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 循環腫瘍細胞 / 骨髄腫瘍細胞 / 微小転移 / 消化器癌 / 予後 / 治療方針 |
研究実績の概要 |
(研究の全体構想)消化器癌(胃癌、大腸癌、肝細胞癌、膵癌)における微小転移(末梢血、骨髄)を同定し、これらを治療効果判定マーカー、予後マーカー、治療のターゲットとして臨床的に普及させたいと考えています。 (研究の具体的目的)・消化器癌患者の末梢血や骨髄血中の腫瘍細胞を同定し、病理組織学的因子、無再発生存期間、全生存期間との関係を調べる ・上記の同定された腫瘍細胞中で、実際に転移をおこす細胞に特異的なマーカーを調べる ・末梢血、骨髄血の腫瘍細胞を抽出培養し、化学治療や分子標的薬への感受性を調べる。 肝細胞癌:35症例から術前 末梢血を採取(其の内 19症例から末梢血と骨髄血を採取)。35名の内23名(65.7%)にCTCを認めた。また19名中13名に(68.4%)にDTCを認めた。CTCと臨床病理学的因子との関係で、術前PIVKAⅡ値とvp因子が 有意にCTC陽性と相関が認められた。予後との関係については、CTCと肝外再発、無再発生存率と相関が認められた。DTCは全生存率との相関が認められた。 大腸癌:1. 大腸癌患者86名のうち、20名(23.3%)にCTCを認めた。また、39名中9名 (23.1%)にDTCに認めた。DTC陽性症例の中で、CTCも陽性だったのは3例(33.3%)であり、CTC陽性症例12名中、DTC陰性例は9例 (75%)であった。2. 各stage毎のCTC陽性率は それぞれ 13.6%(3/22), 23.3%(7/30), 25%(5/20), 33.3%(4/12)あり、stageが進むにつれ 高くなる傾向であった。3. 術後 再発を20例(遠隔転移:局所再発=13: 7)に認めた (23.3%)。CTC陽性20症例中、再発を認めたのは12例(60%)であり、有意に相関した(p<0.01)。再発に対するCTC 陽性例のリスク比は5.0であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸癌や肝臓癌については 昨年度の予定であった、循環腫瘍細胞や骨髄腫瘍細胞と予後との関係を調べる目的は ほぼ終了し、現在 論文執筆中である。 また、胃癌に関しては、その同定方法が ほぼ確立している状況である。本年度はその予後との関係につき調べる。 循環腫瘍細胞について、上皮系マーカーをもつ細胞と上皮間葉転換を起こし、間葉系マーカーをもつものが混在しているとされている。したがって 胃癌に関する本研究については 両マーカーを同時に検出する(3重染色施行)システムを模索中である。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度が当研究プロジェクトの最終年である。 胃癌についてのCTCと予後との関係を調べる研究を遂行する予定である。胃癌の術前、術後7日目、1ヶ月、6ヶ月のCTCを計測し、術後の推移が予後に及ぼす影響を調べる。作業仮説としては、術後CTCが減少することが無再発生存率や全生存率の向上を反映していると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床検体や動物実験を進める前に、CTCの検出や細胞の性質を判定する方法を検討したため、当初の予定よりも若干の遅れを生じたものである。 各種の細胞株を表面マーカーを用いて分離、同定する方法を検討した際に、EpCAM、サイトケラチン等の既知のマーカーでは検出できない細胞が認められたため、各種のマーカーに対する磁器ビーズ抗体による分離や、細胞サイズによる分取などを検討し、検出法の精度を確認し、従来とは異なる方法を見出した。その結果、動物実験に要する費用が当初予定と比べ、先送りされたことにより、余剰金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
動物実験は先送りされたが、全体計画の中で不可欠な検討であり、時期を繰り越して、予定された実験を行うこととしている。当該実験の費用として適切に執行する。
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