研究実績の概要 |
(研究の具体的目的)消化器癌患者の末梢血や骨髄血中の腫瘍細胞を同定し、病理組織学的因子、無再発生存期間、全生存期間との関係を調べる。上記の同定された腫瘍細胞中で、実際に転移をおこす細胞に特異的なマーカーを調べる。 肝細胞癌:術前35症例から末梢血を採取 (内19症例からは骨髄血も採取)。23名(65.7%)にCTCを認めた。また13名(68.4%)にDTCを認めた。CTCと臨床病理学的因子との関係で、PIVKA値とvp因子が優位に、CTC陽性との相関が認められた。予後との関係は、CTC陽性と肝外再発、無再発生存率との相関が認められた。DTCは全生存率との相関が認められた。 大腸癌:大腸癌患者86名のうち20名(23.3%)にCTCを認めた。また39名中9名(23.1%)にDTCを認めた。各stage毎のCTC陽性率はそれぞれ、13.6% (3/22), 23.3% (7/30), 25% (5/20), 33.3% (4/12)であり、stageが進むにつれ高くなる傾向にあった。術後、20例に再発を認めた(遠隔転移:局所再発=13:7)に認めた(23.3%)。CTC陽性20症例中、再発を認めたのは12例(60%)であり、優位に相関した。再発に対するCTC陽性例のリスク比は5.0であった。 胃癌:切除を施行した54例(男:女=36:18)。観察期間の中央値は13.4ヶ月。Stage毎の症例数は31:13:10:0。CTC=0を陰性、CTC≧1を陽性としたときのT1(早期癌)、T2以深(進行癌)でのCTC陽性率はそれぞれ24%(7/29)、56%(14/25)(P<0.05)であった。現在まで5例に再発を認めており、いずれも進行癌でかつ術前にCK(-)N-cad(+)CTCを認めた症例であった。
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