研究概要 |
本研究の当初の研究予定は以下のようであった。 【In vitro における大腸癌に対する本ウイルスの有効性を明らかにする。】 種々の大腸癌細胞株に対し本ウイルスを投与し増殖速度の変化が起こるかどうか検討する。 投与ウイルス量、細胞密度や環境(例えば低酸素下、あるいは抗悪性腫瘍薬剤の存在下など)により、ウイルスの影響が変化するかどうかも併せて明らかにする。分担研究者の藤堂らは脳腫瘍の細胞株であるSK-N-SH (neuroblastoma), U87MG(glioma), U373MG (glioma)および頭頸部の扁平細胞癌株であるSQ20B においてG47△が高い増殖能を持つことを示した(Proc Natl Acad Sci USA. 2001;98:6396-401)。またFukuhara らは前立腺癌の3 種の細胞株(LNCap, DU145, PC-3)においてG47△が元のウイルス株であるG207と比べ、同等あるいはより高率に殺細胞効果のあることを報告した(Clin Cancer Res.2005;11: 7886-90)。今回の研究も大筋はこれに近い内容となるが、多くの大腸癌細胞株を調べることによりin vivo に使用する細胞株として、より有効なものの選択が可能になる。さらに遺伝子等の背景と有効性との間の相関について傾向が認められれば、将来の臨床応用に向けてバイオマーカーの確立を容易にできる可能性が生じる。 しかし、予定していた大学院生が進学を辞退したことから実験の遂行が難しくなり、平成26年度に予定していた、臨床サンプルでの検討に向けて、ストックを開始した。
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