研究課題
本年度は、実験1としてヒト大腸癌細胞との共培養で正常マクロファージに誘導される腫瘍関連マクロファージTAMs様分化をフェニルピペラジン誘導体ナフトピジルが阻害できるか否かを、また実験2としてヒト大腸癌細胞と正常マクロファージをin vitroで3次元培養したときの形態像を検討した。実験1)我々は初年度の検討で、下部のウェル内でマクロファージ様PMA-THP-1細胞を、上部のセルカルチャーインサート内にヒト大腸癌細胞株HT29を培養し、PMA-THP-1細胞における遺伝子変化をリアルタイムPCR法で解析した。この時、HT29細胞と共培養したPMA-THP-1細胞ではIL-1beta mRNAが有意に増加することを見出した。つまり、HT29細胞が産生・分泌する何らかのパラクライン因子がPMA-THP-1に作用し、PMA-THP-1細胞がTAMs様分化誘導という機能転換を引き起こしている可能性が示唆された。そこで、この共培養実験系を活用して、HT29細胞によるTAMs様分化誘導という現象に対するナフトピジルの作用を検証した。その結果、ナフトピジルの添加により、HT29細胞と共培養したPMA-THP-1細胞にて観察されたIL-1beta mRNA発現増加が完全に阻害された。つまり、ナフトピジルはHT29細胞が産生・分泌し、PMA-THP-1細胞にTAMs様分化を誘導するパラクライン因子の産生や働きを阻害する作用があることを見出した。実験2)HT29細胞単独で3次元培養すると球状のスフェロイドを形成した。一方、HT29細胞とPMA-THP-1細胞を混合して3次元培養すると、スフェロイド表面から足を延ばすような形で外へ向かって腫瘍が成長していく特徴的な形態像を示した。この時、病理組織学的には顕著な差を認めなかった。
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