研究課題/領域番号 |
24591973
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
村田 聡 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90239525)
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研究分担者 |
谷 徹 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20179823)
来見 良誠 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70205219)
清水 智治 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70402708)
三宅 亨 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (70581924)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌免疫治療 / 癌ワクチン / エフェクター細胞 / 補助刺激 |
研究概要 |
癌抗原特異的CTLが免疫トレランス状態の担癌生体内で長期間機能を維持できる細胞治療法を樹立するために、エフェクターT細胞機能を増強する一方、制御性T細胞の抑制機能を減弱する働きのあるOX40の補助刺激作用を利用した。 腫瘍抗原ペプチド(RNEU420-429)をT2Dq細胞(抗原提示細胞)にパルスし、HER2/neu発現NT腫瘍接種とHER2/neuワクチン接種を受けたマウス脾細胞よりNylon woolカラムで分離したT細胞と接触し2日間培養した。RNEU420-429特異的CD8+T細胞を誘導し増殖させた後、CD8+ T細胞を分離した。この分離CD8+ T細胞中には、約3%のRNEU420-429特異的CD8+ T細胞を認めた。この約3%のRNEU420-429特異的CD8+T細胞を含むCD8+ T細胞を、NT腫瘍接種を受け担癌状態になったマウスに、6x107個を養子移入した。養子移入6日目に、レシピエント脾臓中には0.5%のRNEU420-429特異的CD8+T細胞が細胞内IFN-γ染色(ICS)により検出可能であった。このwild-typeマウスを用いた系で、担癌生体の制御性T細胞機能をOX40刺激で抑制した状態で、OX40刺激により機能増強したCTLを細胞移入すると、CTLはアポトーシスが抑制され、分裂能が維持され、抗腫瘍免疫効果が増強することを、非免疫寛容マウスモデルで証明した。 評価は腫瘍径の測定と、レシピエント脾細胞におけるRNEU420-429特異的CD8+T細胞を細胞内INF-γ染色(ICS)でおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画に記した、癌抗原特異的CTLの担癌生体内で機能の維持の研究に関し、wild-typeマウス(FVB/N)モデルを用いて養子移入可能な数の癌抗原特異的CTLを樹立し、抗OX40 抗体を用いて、その作用の増強と、担癌マウスの制御性T細胞機能の抑制を行う細胞治療により、移入CTLの機能維持を強力に行うことができ抗腫瘍免疫効果を増強できた。。 同様のことを、免疫寛容マウスモデル(HER2/neu transgenic mouse (neu-N))を用いて行っているところであり、おおむね順調に研究は進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
〈癌抗原特異的CTLの担癌生体内で機能の維持〉CTL誘導過程でOX40補助刺激に加え、分化誘導を抑制する目的でIL-21刺激も加えたあと、このCTLをレシピエント担癌マウスに養子移入し、抗腫瘍効果の増強、RNEU420-429特異的CTLがさらに機能維持されているかどうかを明らかにする。また、移入前のCD8+T細胞をCSFEで標識し、IL-21刺激のある無しにより、移入後の担癌レシピエント内でのCD8+T細胞分裂回数の違いを明らかにする。さらに、誘導されたCTLのBcl-2,Bcl-xL発現を調べ、アポトーシス抑制状態を観察する。 〈効果的なヒト癌特異的CTL細胞の樹立〉 1)ボランティア末梢血からOX40補助刺激、IL-21刺激によるHA特異的CTLの樹立 2)大腸癌特異的ペプチドワクチン療法を受け、ペプチド特異的免疫反応が検出できた患者末梢血から、大腸癌抗原特異的CTLの樹立 3)大腸癌特異的ペプチドワクチン療法を受けた患者末梢血から大腸癌抗原特異的CTLの樹立、を行う方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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