研究課題/領域番号 |
24591973
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
村田 聡 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90239525)
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研究分担者 |
谷 徹 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20179823)
来見 良誠 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70205219)
清水 智治 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70402708)
三宅 亨 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (70581924)
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キーワード | がん免疫治療 / がんワクチン / エフェクター細胞 / 補助刺激 |
研究概要 |
OX40補助刺激因子のもつ、担癌生体の制御性T細胞の機能抑制作用とCTL増殖作用とアポトーシス抑制作用に着目し、さらに、IL-21のもつCD8+ T細胞の分化抑制作用に着目した。両者を利用することで癌抗原特異的CTLが担癌生体内で免疫トレランスに打ち勝ち、抗腫瘍免疫機能を強く長く維持できるCTL細胞治療法の樹立を目的に研究を行った。 マウス(FVB/N)モデルで、腫瘍ペプチドとOX40補助刺激下で誘導された腫瘍抗原特異的CTLが、OX40補助刺激で制御性T細胞抑制処置されたレシピエント担癌マウスに細胞移入されると、アポトーシスが抑制されたCTLが維持し強い抗腫瘍効果を示すことわかった。さらにIL-21刺激下で腫瘍抗原特異的CTLを誘導すると、分裂能を維持し高い抗腫瘍効果を示すCTLが誘導されることを検証している。 腫瘍抗原(HER2/neu)に対しての免疫寛容マウスモデル(HER2/neu transgenic mouse (neu-N))を用いて行い、OX40刺激とIL-21刺激を受けたCTLが、腫瘍抗原に対する免疫寛容状態を打ち破ってその機能が維持され、抗腫瘍効果を発揮することを試みているが、至適条件を捜している段階である。 ヒト癌免疫細胞治療に応用するため、まず、ヒトインフルエンザウイルス抗原(HA)特異的CTLを誘導する際に、OX40補助刺激を加えることにより、高頻度にHA特異的CTLが樹立できた。さらに、IL-21刺激を加えることにより、CTLの抗原刺激による分裂能が維持され、アポトーシス抑制タンパクが高発現することを確認しているところである。 さらにCTL細胞治療法に用いるT細胞補助刺激因子としてmutant-type B7-DC-Fc fusion proteinを作成し、ワクチン増強作用をマウスのin vitroとin vivo実験で確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OX40補助刺激因子における腫瘍抗原特異的T細胞の効果的誘導と制御性T細胞の機能抑制については、おおむね順調に研究が進んでいる。IL-21刺激を加えることにより、CTLの抗原刺激による分裂能が維持され、アポトーシス抑制タンパクが高発現することの確認については、いまだ研究中である。 マウスだけでなく、ヒト細胞を使用しての、HAペプチドとOX40補助刺激による抗HA特異的CTLの誘導は効果的に誘導されている。しかし、まだ、IL21刺激によるCTLの分化抑制については研究中である。
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今後の研究の推進方策 |
IL21刺激による腫瘍抗原特異的CTLの分化誘導抑制とOX40補助刺激との併用効果について、マウス、および、ヒトリンパ球を用いて調べる。 研究計画への追加として、CTLの補助刺激としてB7-DC-Fc有効であることが判明したので、これと抗PD-1抗体とを併用することにより、より有効に腫瘍抗原特異的CTLの誘導と機能強化を試みる。 ペプチドワクチン接種大腸癌患者から得た末梢血中T細胞を用いて、ペプチド、T2-A24抗原提示細胞、OX40補助刺激、IL21刺激により、大腸癌抗原特異的CTLの樹立を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
プラスミド構築と遺伝子増幅による遺伝子安定発現株の作製をタカラバイオ株式会社に依頼しました。 平成25年度での依頼後に、発現株作成完了までに約5ヶ月を要するため、納品が平成26年度となり、次年度使用額が生じました。 プラスミド構築と遺伝子増幅による遺伝子安定発現株の作製 1.プラスミド構築 (2塩基変異導入) \ 80,000 2.トランスフェクショングレードプラスミド大量調製 \ 20,000 3.遺伝子増幅による安定発現細胞株の作製 \ 1,250,000 (細胞のセットアップ, 一過性発現の確認(ELISA), DNA transfectionによる安定発現細胞株の作製, 遺伝子増幅操作・凍結ストック調製)
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