研究課題
癌抗原特異的CTLが免疫トレランス状態の担癌生体内で長期間機能を維持できる細胞治療法を樹立するために、エフェクターT細胞機能を増強する一方、制御性T細胞の抑制機能を減弱する働きのあるOX40などのT細胞補助刺激作用を利用して研究を進めてきた。昨年度より、T細胞に対して補助刺激作用があるが、PD-1に対する刺激作用がなくT細胞をアポトーシス誘導へと導かないmutant-type B7-DC-Fcを腫瘍抗原ワクチンとともに用いて研究を進め、CTL作用の効果増強を確認し、担癌マウスへの抗腫瘍効果と腫瘍局所への腫瘍抗原特異的CTLの集積も確認できた。さらに、変異のないoriginal-typeのB7-DC-Fcを作成するために、2塩基変異のプラスミドを作成し、CHO細胞を使ったoriginal-type-B7-DC-Fc産生安定株を樹立できた。In vivo実験が可能な量のoriginal-type-B7-DC-Fcを精製後に、担癌マウスに対して、ワクチンとorigial-type-B7-DC-Fc腹腔内投与による治療実験を行うと、極めて強力な抗腫瘍効果とワクチン作用増強効果を認めた。現在、mutant-typeとoriginal-typeのB7-DC-Fcの治療効果の違いや、腫瘍抗原特異的CTLの誘導効率の違いにつき調べているところです。今後は、さらにそれらの作用機序の違いを明らかにしたいと考えています。また、このCTL機能増強作用をもつoriginal-B7DC-Fcを細胞治療に応用するため、CTL誘導培地中へのoriginal-B7DC-Fc投与を行い、OX40刺激や、IL-21刺激とともに用いて、腫瘍抗原特異的CTLによるがん免疫細胞治療の効果増強を図っていきたいと考えています。
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Ann Surg Oncol
巻: 21 ページ: 1991, 1997
10.1245/s10434-014-3525-9.