研究課題/領域番号 |
24591974
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 傑 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10362500)
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研究分担者 |
河田 健二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90322651)
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キーワード | 大腸癌 / KRAS遺伝子 / FDG-PET検査 / 糖代謝 |
研究概要 |
本研究では大腸癌におけるKRAS遺伝子変異と糖代謝およびFDG 集積との関連についてその機序を解析するとともに、実地臨床のFDG-PET検査において大腸癌へのFDG集積程度を 定量的に評価することでKRAS/BRAF遺伝子変異の有無を予測し大腸癌治療に応用できるか検討することを目的とする。 2009年4月~2010年9月に京大病院で原発巣切除術を施行した大腸癌51症例の検討で、KRAS/BRAF遺伝子変異を認めた群(23例)は遺伝子変異のを認めなかった群(28例)よりも大腸癌原発巣への集積 (SUVmax:1ピクセルあたりの最大SUV) が有意に高く(17.1±7.1 vs 12.1±5.7; P = 0.006)、75%の精度でKRAS/BRAF遺伝子変異の有無を予測できることをが分かり、以上の内容は論文として発表した(Kawada K et al. Clin Cancer Res.18:1696.703.2012)。以上の結果は臨床検体での解析結果であるが、FDG集積とKRAS遺伝子変異、糖代謝との関連についての分子機序について、ヒト大腸癌細胞を使用したin vitro 実験でFDG 集積能を調べたところ、KRAS遺伝子変異のある大腸癌細胞ではsiRNA法にてKRAS遺伝子をノックダウンすると有意にFDG集積が低下するが確認された。さらにその細胞株をマウスに接種しanimal PETでin vivo実験で解析したところ、大腸癌組織においては①KRAS遺伝子変異と②腫瘍組織における低酸素環境が転写因子HIF-1aを誘導することFDG集積を亢進させていることが明らかとなった。以上の研究結果については現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りにおおむね実験計画は進んでおり、現在までに得られた実験結果は学会発表のみならず論文発表することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに行なった大腸癌原発巣での解析結果および細胞株を使用した動物実験結果をふまえ、さらに本研究では大腸癌の遠隔転移巣(肝転移、肺転移、腹膜播種)においてFDG-PET検査でのFDG集積程度を定量的に評価することで遠隔転移巣におけるKRAS/BRAF遺伝子変異の有無を予測できないかを検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
若干の端数が生じたため。 次年度予算と合わせて使用の予定である。
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