研究課題
当該年度は、主にJMJD3を中心に解析を行った。まず、JMJD3大腸組織における発現を、凍結保存された大腸癌切除症例を用いて確認したところ、有意に正常組織での発現が高く、癌部での発現が低下していた。このことから、JMJD3は癌抑制遺伝子の可能性があり、大腸癌の予後因子となる可能性が考えられた。この仮説のもと、実験を進めることとした。次にJMJD3の原発性大腸癌切除症例151例における予後への影響を検討したところ、JMJD3の発現が低いほど、有意に予後不良であった。さらにJMJD3が癌に与える影響を、大腸癌細胞株を用いて検討した。最初に、大腸癌細胞株におけるJMJD3の発現を確認することとした。RT-PCR法でRNA発現量を、Western blotting法でタンパク発現量を確認したところ、JMJD3は比較的どの大腸癌細胞株においても発現していることが確認された。その中でも、発現量の高いcolo201とcolo320を用いて実験を進めた。siRNAの手技を用いて、JMJD3をノックダウンすることで、その発現量を低下させたところ、腫瘍細胞の浸潤能には影響しないが、有意に細胞増殖能が低下した。ヒストンメチル化においてJMJD3と反対の酵素活性を持つEZH2がp16を制御することで、細胞増殖に働くことから、同じように細胞周期関連タンパクを検索したところ、JMJD3は細胞周期関連タンパクであるp15を制御することで、細胞周期をarrest状態とし、同時にアポトーシス誘導をきたすことがわかった。これまでの内容をまとめて、現在論文投稿中である。
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