研究課題
循環癌幹細胞の体内動体をマウスで検討した。まず、マウス大腸癌肺転移株MC38から、癌幹細胞マーカーであるCD133/CD44陽性細胞を分離し、GFP遺伝子をトランスフェクトした(MC38/GFP)。この腫瘍をマウスの脾臓に移植し、その後経時的にマウスの腫瘍細胞の動態をin vivo蛍光イメージング装置で解析した。その結果、移植後早い時期に、脾臓の腫瘍組織から血管内に侵入した遊離癌細胞が確認されたが、この段階では肝組織に浸潤し転移するような像は確認されなかった。一方、腫瘍組織の増殖が進み、腫瘍血管の脆弱さがみられてきた時点から、クラスターを形成した腫瘍細胞が血管内に遊離していく像が確認された。これらの腫瘍細胞は、末梢血のみならず骨髄においても確認された。クラスター形成腫瘍細胞の表面には、ニッチの形成に重要な間質系細胞や腫瘍血管に関連した分子を発現しているものが確認された。末梢血にクラスター形成腫瘍細胞が確認されたマウスと、シングルセルの腫瘍細胞のみ確認されたマウスで、その後の腫瘍の転移率を検討したところ、クラスター形成腫瘍細胞確認マウスで、転移率が有意に上昇した。次に、これらのニッチを形成している血管内皮細胞のレセプターである、VEGFR1およびVEGFR2の抗体をマウスに投与したところ、肝臓および骨髄での腫瘍形成が有意に低下した。これらの結果から、原発部腫瘍組織から遊離した循環腫瘍細胞のうち、とくにクラスターを形成しているものが、シングルセルに比べて、腫瘍形成能が強いことが明らかとなった。その機序として、クラスターを形成した腫瘍細胞周囲には、ニッチの構成要素となる血管内皮および間質系の分子が発現しており、転移巣および骨髄でのニッチ形成を助長している可能性が示唆された。さらに、ニッチの構成分子である血管内皮レセプター抗体は、転移形成の抑制効果を示すことが確認された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (22件) (うち査読あり 22件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (15件)
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