従来、全周性腸管の再生が不可能であった理由は、体組織の再生修復(=創傷治癒)が炎症反応→瘢痕(線維化)を残し治癒するのと同様、再生腸管の壁も徐々に線維化・瘢痕化すること、腸管再生の足場に播種した上皮細胞は数週で萎縮・消失し長期的な再生・定着をしない、にあった。本研究では、再生足場の内腔側の腸粘膜メッシュのかわりに同じ上皮系である肝細胞を用いて足場に播種し線維芽細胞と腹腔内共培養し、羊膜の代わりにP(LA/CL)コポリマーと大網のロール状の重層腸管壁チューブの作成に成功した。その結果、上皮系内層を持ちかつ瘢痕が無く、その結果、栄養吸収機能の可能性を持つ全周性チューブ(腸管壁)の再生を行った。
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