研究課題/領域番号 |
24591992
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
渡辺 剛 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50375276)
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研究分担者 |
山本 雄造 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70281730)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肝虚血再灌流障害 / NF-κB |
研究実績の概要 |
昨年度までの研究実績としては、20塩基のFITC 標識oligodeoxynucleotides (ODN)を門脈内急速投与することで、肝組織中の蛍光強度は有意に増加し、肝組織中にODNが導入されているとの結果を得た。また、肝組織を蛍光顕微鏡で観察すると、肝細胞にFITC-ODNが取り込まれないが、類洞内皮細胞、クッパー細胞にはFITC-ODNが取り込まれることを確認した。さらに、NF-κBの遺伝子結合部位と同様の配列をもつNF-κB decoy ODNを門脈内急速投与すると類洞内皮細胞、クッパー細胞においては、肝虚血再灌流1時間後のNF-κB活性がNF-κB decoy ODN投与により抑制されることをEMSAにより細胞レベルで明らかにした。以上から、門脈内急速投与することで20塩基程度のODNは類洞内皮細胞、クッパー細胞にとりこまれ、NF-κB decoy ODNはNF-κBの活性化を抑制することが明らかとなった。 当該年度は、NF-κB decoy ODN投与によって肝虚血再灌流障害が軽減するか否かをラット個体レベルにおいて検討した。SDラットにNF-κB decoy ODNを門脈内急速投与し、24時間後に45分間の肝流入血遮断(Pringle法)し、その後再灌流させた。再灌流1,3,6時間後に血液、肝組織を採取し、肝酵素値(AST, ALT, LDH)、血中サイトカイン値(TNF-α, IL-1β, IL-6, GRO/CINC-1)、HE染色による肝壊死、炎症所見の程度、肝類洞内好中球数を検討した。NF-κB decoy ODN群のほかにscrambled decoy ODN群、コントロール群(溶媒のみ投与)の三群を設け比較検討した。現在、順次得られたサンプルから測定など行っている状態であるが、最終的な結論は得られておらず、来年度以降も研究を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では研究最終年度として「NF-κB decoy ODN投与による肝虚血再灌流障害軽減化の検討」を終了し、研究を終える予定であった。しかし、およそ120匹のラットを用い、虚血再灌流障害のモデルを作製し、またモデル作製により得たサンプルで肝酵素値測定、血中サイトカイン測定などを行わなければならないため、予想以上に時間を要した。研究自体は順調に進んではいるものの、いまだ研究は完遂していない状態である。
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今後の研究の推進方策 |
研究自体は順調に進んでいるが、予想以上に時間を要している。しかし、モデル作製の大部分は終えているため、引き続き研究をおこなうことで今年度中に研究は終了し、成果がえられると予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では研究最終年度に「NF-κB decoy ODN投与による肝虚血再灌流障害軽減化の検討」を終了し、研究を終える予定であった。しかし、およそ120匹のラットを用い、虚血再灌流障害のモデルを作製し、またモデル作製により得たサンプルで肝酵素値測定、血中サイトカイン測定などを行わなければならないため、予想以上に時間を要している。研究は順調に進んではいるものの、いまだ研究は完遂しておらず、したがって未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き、研究を継続し完遂するために、未使用額を次年度において使用する。主な使途内容は、ラット、試薬などといった研究に直接的に必要な物品の購入であり、適切に使用する。
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