研究課題/領域番号 |
24591994
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
清水 宏明 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80272318)
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研究分担者 |
宮崎 勝 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70166156)
大塚 将之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90334185)
久保木 知 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50571410)
木村 文夫 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (70334208)
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キーワード | 肝再生 / 類洞再生 / 黄疸 / 肝硬変 |
研究概要 |
1. 90%肝切除後、黄疸肝、硬変肝の肝切除後肝再生促進の試み: BDL2週群にて肝組織中のHGF, VEGF mRNAの発現は増加していた。さらにTGF-β1 mRNAの発現はsham群に比し有意に亢進しており、肝星細胞(HSCs)にて強発現していた。またdesmin陽性であるHSCsの数およびその活性化を認めた。OJ群では肝切除前よりPCNA L.I.がsham群に比して高く、肝再生は遅延していた。さらに、TGF-β1 mRNAの発現はsham群に比し、肝切除前から48時間まで有意に高値であった。また、sham群では肝切除後にHGF mRNA発現の急激な上昇を認め、12-24時間にピークとなったのに対し、OJ群ではその発現のピークは消失していた。したがって、閉塞性黄疸時には、HSCsの数の増加と活性化に伴い、繊維化/増殖抑制因子としてのTGF-β1が強発現しており、また肝組織中のHGFもすでに誘導されていた。肝切除後には活性化HSCsからのHGFの産生低下に起因してHGF発現は低下し、TGF-β1の発現の亢進と相まって肝再生は抑制・遅延される状態にあることが示唆された。さらに黄疸肝では、類洞内皮細胞障害がすでに起こっており、VEGF, HGFのピークが消失し、肝非実質細胞の再生も抑制・遅延される状態にあることが示唆された。 2. 血管内皮前駆細胞の分離 骨髄由来で内皮細胞に分化することができる血管内皮前駆細胞(EPC)は、骨髄から末梢血中に動員されて、新しく血管が新生されつつある局所に特異的に取り込まれると報告されている。まず、ラット末梢血を尾静脈より、採取し、その中の単核球を比重遠沈法で分離する。この単核球分画に存在するCD34の発現した細胞をFACScanにより解析してみるものの、EPCと推測される細胞集団の分離が不成功に終わっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
骨髄由来で内皮細胞に分化することができる血管内皮前駆細胞(EPC)は、骨髄から末梢血中に動員されて、新しく血管が新生されつつある局所に特異的に取り込まれると報告されている。ラット末梢血を尾静脈より、採取し、その中の単核球を比重遠沈法で分離する。この単核球分画に存在するCD34の発現した細胞をFACScanにより解析してみるものの、EPCと推測される細胞集団の分離が不成功に終わっている。今後何らかの工夫が必要と考える。また、分離できなければ、骨髄細胞をそのまま用いることも考慮している。
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今後の研究の推進方策 |
血管内皮前駆細胞(EPC)が分離できなければ、骨髄細胞を門脈内に注入し、それぞれの残肝組織の再生、ラットの生存を検討する。投与群の肝切除後(黄疸肝切除後、90%肝切除後)の再生肝組織より凍結切片を作製し,抗VEGF抗体、抗Ang1抗体, Ang2抗体, 及び,TIE2 抗体、さらには、抗HGF抗体を用い,それぞれの蛋白の発現を経時的に評価、また同時に 再生肝組織よりmRNA を分離し、RT-PCR法を用いて,VEGF、 Ang1、 Ang2、及びTIE2、HGF のmRNAの発現の推移を検討し、コントロール群の推移と比較検討する。
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