研究課題
肝障害誘導免疫不全ラット(X-SCIDラット)へのヒト幹細胞(hMSC, hiPSC)由来肝細胞移植実験・致死性肝障害誘導ラットに対する、未分化hMSC、hMSC由来肝細胞およびヒトiPS細胞由来肝細胞の細胞移植による生存率改善効果および生着能・分化形態の比較検討前年度までにhMSC由来肝細胞をretrorsineにより肝障害を誘導した免疫不全ラット(X-SCIDラット)肝内に細胞移植し、移植細胞の生着および生着後の機能評価を行った。移植細胞は肝内においてhuman albuminを産生していたものの、生着細胞数が少なかったことから、ラット血清中にはhuman albuminを検出できていなかった。本年度はretrorsine以外の肝障害誘導法の検討および移植部位の検討を行い、致死的肝障害モデルとして90%肝切除モデルを検証した。径門脈的大量細胞移植による血管閉塞・肝障害を来さないことを企図して、腸間膜内への細胞移植を検証した。無アルブミンラットへの移植においてラット血中にhuman albuminの検出を確認するとともに、90%肝切除モデルにおいて細胞移植による致死率改善が確認された。一方、腸間膜内のnichの問題(血流・細胞外マトリックス)から、移植細胞は腸間膜内で短時間でそのviabilityを低下させることも確認されたため、致死率改善のメカニズムを検証した。組織像やATP活性の検証において細胞移植群では致死的肝切除後の残存肝に対する明らかな細胞保護効果が認められた。移植細胞除去実験も施行し、移植細胞は腸間膜内移植後8-10時間までは肝細胞としての機能を発現し、致死的肝障害に対する機能補助に働いているものの、以後はサイトカイン分泌による切除後肝臓への保護効果が致死率改善に大きく関与していることを確認した。本結果は現在論文投稿中である。
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