研究課題/領域番号 |
24592000
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
丸橋 繁 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (20362725)
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研究分担者 |
和田 浩志 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00572554)
永野 浩昭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10294050)
川本 弘一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30432470)
小林 省吾 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30452436)
江口 英利 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90542118)
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キーワード | 肝再生 / IL-6 / MR16-1 |
研究概要 |
肝再生を制御することは、末期肝硬変や肝不全に対する治療や大量肝切除後の補助療法に非常に重要である。肝再生は現在複数のシグナル経路が働き調節されており、中でもInterleukin-6(IL6)およびHepatocyte growth factor (HGF)/MET 系を中心に制御されていることがわかっている。しかしその相互作用や詳しいシグナル経路について不明な点が多い。本研究では、当初IL-6の受容体であるgp130およびHGFの受容体であるc-metのコンディショナルノックアウトマウスを作成する予定であったが、技術的な面からIL-6/gp130に関しては、マウスIL-6レセプターに対する特異的抗体であるMR16-1(Immunology Letters 84(2002)231-240)を投与する方法を採用した。c-metに関してはc-metflox/flox gp130flox/floxマウスとalbumine-Creトランスジェニックマウスを交配することにより、c-metコンディショナルノックアウトマウスを作成する準備を行った。 マウス(B6C3F1、6週齢)を用いて、MR16-1を腹腔内に投与し70%肝切除を行い、術後12,24,48,72時間後に肝および血液サンプルを採取、同様にMR16-1非投与70%肝切除群と比較した。再生肝重量は、非投与群で0.532±0.088g、投与群で0.424±0.025gとMR16-1投与群で有意に肝再生が抑制されていた(P=0.035)。またTUNEL染色では両群で差はなかったものの、PCNA/Ki indexでは、投与群で抑制されている傾向がみられた。血中および肝組織中のIL-6、TNFα、HGF濃度は両群において差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたgp130コンディショナルノックアウトマウスの作成が困難であったが、IL-6受容体の特異的抗体であるMR16-1を用いることにより、IL-6系の伝達経路を遮断する、当初の目的通りの研究が可能となった。この系により、70%肝切除モデルを作成し、サンプルを採取し、現在解析を進めている。 一方、HGF/c-met系の伝達経路のmodulationとして重要なc-met floxマウスを入手し、Cre-albuminマウスと交配することによりc-metコンディショナルノックアウトマウスの作成を予定している。 サンプルが得られ次第、伝達経路の解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
IL-6受容体の特異的抗体であるMR16-1を用いることにより、IL-6系の伝達経路を遮断した70%肝切除モデルを作成した。MR16-1投与群と非投与群のサンプル(肝組織、血清)を用いて、下流シグナルである、Jak、STAT3、PI3K、LKB1などの発現を遺伝子レベル、蛋白レベルで解析する。実験手法として、target geneのreal-time PCRによるmRNA発現定量、DNAライブラリー作成を行いmRNAの網羅的遺伝子解析(Microarray analysis)、蛋白解析Western blot)を行う。また血清を用いたNon-codingRNAの解析を網羅的に行う。 一方、HGF/c-met系の伝達経路のmodulationとして重要なc-met floxマウスをCre-albuminマウスと交配することによりc-metコンディショナルノックアウトマウスの作成し、MR16-1投与群、非投与群で、同様に70%肝切除を行い、肝再生およびIL6、HGFのシグナル伝達経路の活性化を評価し、Key moleculeの同定および肝再生機構の解明を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗に合わせ、研究費の支出を調整したため 26年度に必要物品として使用する
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