研究概要 |
プールしたアレイデータおよび新規解析した全ゲノム対応アレイ解析に基づく予後不良肝癌の原発巣で発現低下した遺伝子のリストアップを行った 。すなわち、20例の肝癌組織(予後不良10例/予後良好10例)より既報(Iizuka et al, Cancer Res 2002, Iizuka et al, Oncogene 2003)に準じRNAを調整し、ニンブルジェンの高密度アレイ上でハイブリを行い、対応スキャナー(現有設備)で遺伝子発現量を測定した。しかしながら、高密度アレイで得られた遺伝子発現データはバラつきが大きく、予後に関わる遺伝子のリストアップに難渋している。そこで再度、全ゲノム対応アレイを用いた発現解析を追加するとともに、既にプールしていた遺伝子発現データベース(Iizuka N, FEBS let. 2005)からメチル化遺伝子のリストアップを並行して行った。現在、予後不良の肝癌で発現が低下し、且つ、プロモーター領域にCpGアイランドを保有する遺伝子を20個前後同定しており、この遺伝子の発現解析をリアルタイムRT-PCR法で検証中した。この中で遺伝子A,B,C,D,E,F,G,Hの発現低下と予後との関連性を確認できた。次に、これら8つの遺伝子のメチル化の有無を定量解析するために、肝癌局所から抽出したDNAと肝癌患者の血清から回収したセルフリーDMAを用いてメチル化定量方法の確立を行った。 なお、本研究の遂行過程で得られた肝癌の遺伝子に関する知見をまとめて、海外雑誌に3報した。
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