研究課題/領域番号 |
24592009
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
田中 邦哉 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (10295503)
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研究分担者 |
平野 久 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (00275075)
廣島 幸彦 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (60718021)
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キーワード | CD133 / 肝転移 / 大腸癌 / CD44 |
研究概要 |
大腸癌肝転移巣検体を用いて、①原発巣と転移巣で癌幹細胞マーカー発現が同一であるか、②転移巣での癌幹細胞マーカー発現は予後規定因子になり得るかを検討した。1998年から2008年までに当科で切除術を施行した大腸癌肝転移症例103例を対象とした。このうち44例は原発巣での評価も行った。CD44、CD133の免疫組織学的発現を検討した。また浸潤能、増殖能、抗癌剤耐性能を評価するためMIB-1、E-カドヘリン、ABC-G2の発現に関しても検討した。CD44の発現率は原発巣で41.4%、転移巣で58.7%であった。原発巣と転移巣で発現にmarginalな相関を認めた(r=0.250、p=0.071)。CD133の発現率は原発巣で53.6%、転移巣で44.6%であった。原発巣と転移巣で発現に相関は認めなかった(r=0.219、p=0.135)。肝転移巣のCD133発現は独立予後良好因子であった(Hazard ratio 0.320, p=0.0016)。肝転移CD133陰性群は陽性群に比し有意にMIB-1 indexが高く(61.6 vs 46.3%, p=0.003)、E-カドヘリン発現が低かった(29.3 vs 46.8%, p=0.001)。原発巣と転移巣でCD133発現に相関は認めなかった。肝転移巣のCD133陰性は予後不良因子であり、増殖能や浸潤能に関連している可能性があると考えられた。 またCD133発現の腫瘍内の局在を検討したが、癌中央部と辺縁に発現の差はみられなかった。 CD133陽性群と陰性群でプロテオーム解析をおこない、1681蛋白を抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CD133陽性、陰性群での発現タンパクの相違を、pCRなどの他の解析で検討したいが、過去の保存検体の有無や保存状態などにより、追加検討が困難な状況となっている。 microdisectionにより精密な検討をしたいが、microdisectionで得られる検体が少なすぎるため検討中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
大腸癌肝転移巣由来の細胞株を樹立する プロテオーム解析を再度施行する (大腸癌肝転移巣CD133陽性群でもCD133陰性部分が存在するため、microdisectionを施行。十分な検体量がえられてからプロテオーム解析をおこなう。またプロテオーム解析、pCR、免疫染色などを同一検体でおこなえるよう、充分な検体量を採取する)
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次年度の研究費の使用計画 |
プロテオーム解析、細胞株樹立、抗癌剤耐性実験などの実験がまだおこなえておらず、その実験費用が繰り越しとなっている 細胞株樹立の培地、試薬などを購入する。
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