研究課題
本研究である、小児生体肝移植後グラフト肝加齢変化のテロメア長とテロメラーゼ活性による解明では、小児肝移植後のグラフト肝よりプロトコール肝生検で得られた肝細胞のテロメア長を組織Q-FISH法、テロメラーゼ活性をリアルタイムPCR法により測定し、定量的指標によりグラフト肝寿命を把握すると共に種々肝移植後状態が及ぼすグラフト肝寿命への影響を解明することが目的であった。本研究により、多くの症例でグラフト肝とドナー肝のテロメア長を指標とした加齢変化は、同等であったことが証明された。また、肝移植後合併症(血管、胆管、急性拒絶反応など免疫学的合併症を含む)が高度であり、術後長期経過後も血液学的肝機能安定のために多数の免疫抑制剤を余儀なくされた症例では、グラフト肝のテロメア長は、ドナー肝に比し、有意に短縮する可能性があることも解明した。逆に合併症が少なく、免疫抑制剤の離脱が可能となった、あるいはほぼ可能である症例では、グラフト肝のテロメア長がドナー肝よりも短縮スピードが低下する可能性が示唆された。また、ドナー年齢が、肝移植後グラフトテロメア長の短縮スピードに影響を及んぼし、35歳以上ではテロメア長短縮が加速する可能性があることも証明した。本研究に付随し、多くの知見も得ることが可能となった。胆道閉鎖症患者の肝細胞テロメア長が正常に比べ有意に短縮すること、ドナー年齢が、肝移植後のトレランスに影響を及ぼす可能性があること、ドナーとレシピエントの性差が移植後急性拒絶反応の頻度に影響を及ぼし、父親から娘への生体肝移植においてその頻度が高くなることなどを証明し、それぞれ、英語論文、学会などに発表した。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Transplantation Proceedings
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