研究課題/領域番号 |
24592016
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
山本 順司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (40342654)
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研究分担者 |
川内 聡子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 助教 (20506505)
初瀬 一夫 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 准教授 (40082284) [辞退]
佐藤 俊一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 准教授 (90502906)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 虚血再灌流 / 肝臓 / 光計測 / 拡散減衰係数 / 吸収係数 / 近赤外光 |
研究実績の概要 |
生体組織に対して非侵襲性で比較的高い透過性を有している可視~近赤外光(波長=600~900nm)を用いて、生体組織を伝播した光の減衰、吸光度スペクトルを計測することで、生体組織の循環代謝等に関する情報を非侵襲的に計測すること、また近赤外分光において定量測定、探測領域の制御、空間分解能などに関する課題の原因となっている光の多重散乱を計測・分析することで、組織内の細胞や細胞小器官の形態に関する情報を得ることを目的に、小動物(マウス)で肝の虚血-再灌流モデルを作成し、自作した光計測プローブを用いて、肝細胞のviabilityと経時的なスペクトルの変化を観察し、細胞の形態的、代謝的変化と対比し、光計測がどこまで肝組織の変化を捉えることができるかを解析した。(1)拡散減衰係数μs、(2)吸収係数μa、(3)組織酸素飽和度StO2、(4)チトクロームc酸化酵素におけるheme aa3の還元 CcOを評価した。ラットにおいて、開腹下に肝臓を露出し、in vivoで拡散反射光スペクトル解析を行った。虚血下あるいは窒素吸入による安楽死後にはμa(605)/μa(620)の増加がそれぞれ観察され、ミトコンドリアでのエネルギー喪失を表すhemm aa3の還元を示していると考えられた。500, 530, 570と584 nmでの拡散減衰係数μsの経時変化は吸収係数の変化とよく相関したがこれは赤血球による光散乱を反映しているものと考えられた。一方で、700 と800 nmでは、虚血下では一過性の安楽死後には不可逆的な拡散の低下がそれぞれみられた。肝虚血下でみられる近赤外波長における拡散減衰係数の変化は虚血による細胞や細胞内構造の形態変化を示していると考えられるのに対して、安楽死では肝細胞の空胞化を意味していると考えられた。本研究の結果は拡散反射光スペクトル計測系を生体肝組織の病態生理学的状態の評価に適応する可能性を示している。
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