研究課題/領域番号 |
24592017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
蒲池 浩文 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60374237)
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研究分担者 |
西原 広史 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50322805)
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
神山 俊哉 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80322816)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Mesothelin / リンパ管浸潤 |
研究概要 |
【目的】ERC/Mesothelinは種々の癌で発現が認められているが、本研究では胃癌110例、大腸癌91例及び肝外胆管癌61例の臨床検体を用いて、ERC/Mesothelin発現と病理学的因子、患者予後との相関を解析し、さらにリンパ管侵襲の機序をin vitroにて解明した。 【方法】免疫染色にてERC/Mesothelinの発現レベル・局在(膜発現)と、臨床病理学的因子・予後との相関を検討した。さらにERC/Mesothelin強制発現大腸癌細胞を用いてリンパ管侵襲の機序を解明した。 【結果】ERC/Mesothelin膜発現は胃癌及び肝外胆管癌において種々の病理学的因子と相関し、予後不良因子(胃癌; p<0.001, 肝外胆管癌;P=0.017)であり、大腸癌においてはリンパ管浸潤(P=0.009)と相関を認め、リンパ節転移陽性38症例において予後不良因子であった(P=0.033)。また膜発現型ERC/Mesothelinを強制発現させた大腸癌細胞株WiDrは、リンパ管内皮浸潤実験にて有意な浸潤能の亢進が認められた。 【考察】ERC/Mesothelin膜発現は、臨床病理学的悪性度、特にリンパ管侵襲及び患者予後と相関し、消化器癌領域の診断・治療への応用が期待される新たなバイオマーカーとなることが示された。(Br J Cancer. 2012, Int J Oncol. 2012, J Gastroenterol. 2013)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝外胆管癌、大腸癌、胃癌におけるMesothelin発現と臨床病理学的解析について、病理専門医と協力することで、評価が予想よりも早く終了することができた。また、病理学的検討では、当初は、Mesothelin過剰発現ベクターの作成に難儀していたが、Mesothelin発現ベクターの作成に成功した後は、大腸癌細胞株におけるMesothelinの発現の意義について検討し、大腸癌におけるMesothelin発現がリンパ管浸潤に関与するという結果を得た。2年間で、3本の英語論文のアクセプトを得られ、達成度としては、おおむね順調に進展している。(Br J Cancer. 2012, Int J Oncol. 2012, J Gastroenterol. 2013
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今後の研究の推進方策 |
臨床病理学的検討では、すでに肝外胆管癌、胃癌、大腸癌におけるMesothelin発現について、免疫組織学的検討を行った。また、大腸癌については、細胞株にMesothelinを強制発現させ、Mesothelinの遺伝子がどのようなフェノタイプを持つか検討を行ってきた。 しかしながら、血中のMesothelin測定の意義については、欧米でも報告が無い。そこで、同意が得られ、術前に採血がある消化器癌患者における血中のMesothelinを測定し、血中のMesothelinの測定が、術後の予後や再発に関する新たな分子マーカーとなりうるか否かを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度の未使用額の発生については、Mesothelinの抗体、免疫染色の条件がすでに整っていたことで、新たにMesothelinに関する抗体を購入する必要が無くなったこと、また、Mesothelinの発現ベクターを順天堂大学医学部病理学講座から頂けたことにより、消耗品のみの購入で実験を遂行することができたことがあげられる。 上記未使用学のH25年度の研究費の使用計画としては、血中のMesothelinを測定することができるELISA KITを購入する予定である。具体的には、同意が得られ、術前に採血がある消化器癌患者における血中のMesothelinを測定し、血中のMesothelinの測定が、術後の予後や再発に関する新たな分子マーカーとなりうるか否かをELISA KITにて検討する。
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