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2013 年度 実施状況報告書

消化器癌におけるMesothelin分子発現の意義と癌悪性度との関係

研究課題

研究課題/領域番号 24592017
研究機関北海道大学

研究代表者

蒲池 浩文  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60374237)

研究分担者 西原 広史  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50322805)
尾崎 倫孝  北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
神山 俊哉  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80322816)
キーワードmesothelin / cancer
研究概要

1)臨床病理学的検討
a)膵管内乳頭粘液性腫瘍37例におけるMesothelin発現に関し免疫組織学的に検討を加えた。腺腫の約50%、浸潤癌の約80%にMesothelin発現を認め、膜発現は腺腫の15.4%、浸潤癌の54.5%(p=0.00016)と発現頻度に有意差を認めた。また再発症例は全例膜発現症例であり、癌の発生過程におけるMesothelin発現の現象をとらえたこと、胃癌で報告したMesothelin膜発現と悪性度の関係を裏付ける知見が得られた(Oncology Letters. 2014
accepted)。b)肝内胆管癌28例におけるMesothelin発現の免疫組織学的を行ったところMesothelin発現は5例のみであったが、血中のN-ERC濃度とMesothelin発現には乖離を認めていることが分かった。
2)分子生物学的検討
Mesothelin過剰発現膵癌株の作成を試みたが、安定した発現株を得ることができなかった。このため siRNAによりMesothelin発現をknockdownし細胞株の形質変化を検討した。Mesothelin発現膵癌細胞株であるBXPC3のMesothelin発現を抑制したところ増殖能に関してはコントロールと差を認めなかったが、浸潤能は抑制されることが分かった。また、このモデルを用いて癌浸潤に関わる上皮間葉転換(EMT)関連分子の網羅的検討を行い、いくつかの関連分子の増減を確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

臨床病理学的検討に関しては新たに2つの癌種に対しMesothelin発現の検討を行ってきており、おおむね順調に進んできていると考えている。膵管内乳頭粘液性腫瘍に関してはadenoma-carcinoma sequenceが提唱されている病態でもあり、本研究で腺腫の段階からMesothelinの発現を認めること、進行するに従いMesothelin発現頻度および膜発現率が増加していくことが明らかとなった。Mesothelin発現と癌化の関連に関し、より確固な傍証を捉えた知見と考えられる。また肝内胆管癌の検討では血中のN-ERC濃度が測定できる症例があり、今後組織でのMesothelin発現との関連に関し詳細に検討しバイオマーカーとしてのMesothelin測定という観点での研究の推進の足掛かりとなったと考えている。
分子生物学的検討に関しては、いくつかの現象をとらえているが今後の更なる検討を要すると考えている。

今後の研究の推進方策

各癌腫におけるMesothelin発現に関しては一定した治験が得られたと考えられる。臨床的には肝内胆管癌症例で血中Mesothelin濃度が測定可能な症例があり、その予後との関連、biomarkerとしてのMesothelinの意義を検討する。また、癌化におけるMesothelinの分子生物学的解析、特にEMTに着目し今後の研究を行うことで、癌とMesothelin発現の関係に関し明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

Mesothelinの分子生物学的検討のおいて、1)強制発現株の作成に時間を要し完結しなかったこと、2)EMT関連遺伝子の発現の検討に時間を要したことなどで当該年度使用額の一部を翌年分として請求した。
肝内胆管癌症例で血中Mesothelin濃度測定用キットの追加購入、およびMesothelin発現とEMT関連の遺伝子発現に関する分子生物学的検討のための試薬等の購入を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] The Significance of Luminal Membrane Mesothelin Expression in Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms2014

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Einama, Hirofumi Kamachi, Hiroshi Nishihara, Shigenori Homma, Hiromi Kanno, Marin Ishikawa, Futoshi Kawamata, Yuji Konishi, Masanori Sato, Munenori Tahara, Kuniaki Okada, Shunji Muraoka, Toshiya Kamiyama, Akinobu Taketomi, Yoshihiro Matsuno, Satoru Todo
    • 雑誌名

      Oncology Letters

      巻: 未定 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [学会発表] Intraductal papillary mucinous neoplasms(IPMNs)におけるMesothelin発現様式の検討2014

    • 著者名/発表者名
      永生 高広, 蒲池 浩文, 西原 広史, 本間 重紀, 田原 宗徳, 岡田 邦明, 村岡 俊二, 神山 俊哉, 松野 吉宏, 谷口 雅彦, 古川 博之, 武富 紹信, 藤堂 省
    • 学会等名
      第114回日本外科学会
    • 発表場所
      国立京都国際会館・グランドプリンスホテル京都(京都)
    • 年月日
      20140403-20140405
  • [学会発表] Molecular and clinicopathological analysis for ERC/Mesothelin in digestive cancers2013

    • 著者名/発表者名
      西原広史、川俣太、永生高広、津田真寿美、王磊、樋野興夫、武冨紹信、田中伸哉
    • 学会等名
      第72回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      20131003-20131005
  • [学会発表] 細胞内の局在に着目した肝外胆管癌におけるMesothelin発現の免疫組織学的検討2013

    • 著者名/発表者名
      川俣 太, 蒲池 浩文, 永生 高広, 西原 広史, 田原 宗徳, 神山 俊哉, 藤堂 省, 武冨 紹信
    • 学会等名
      第25回日本肝胆膵外科学会
    • 発表場所
      ホテル東日本宇都宮(栃木)
    • 年月日
      20130612-20130614
  • [学会発表] 消化器癌におけるERC/mesothelin発現の分子病理学的解析2013

    • 著者名/発表者名
      西原広史、川俣太、永生高広、加藤容崇、樋野興夫、武冨紹信、田中伸哉
    • 学会等名
      第102回日本病理学会総会
    • 発表場所
      ロイトン札幌・さっぽろ文芸館(札幌)
    • 年月日
      20130606-20130608

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公開日: 2015-05-28  

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