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2013 年度 実施状況報告書

定量プロテオミクス・メタボロミクスアーカイブに基づく膵癌オーダーメイド治療の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24592018
研究機関東北大学

研究代表者

元井 冬彦  東北大学, 大学病院, 講師 (30343057)

研究分担者 大塚 英郎  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (50451563)
立川 正憲  東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (00401810)
キーワード膵臓外科学 / 膵癌 / 化学療法
研究概要

膵癌細胞抗癌剤耐性の検討:膵癌の増殖・進展に関与する可能性がある標的経路を同定とするため、標準抗癌薬(5FU)とともに、各種分子標的薬に対する膵癌細胞株の発育阻止実験を行った。昨年度より、細胞株の種類を増やし、11種の膵癌細胞パネルを用いて、50%発育阻害濃度(IC50)を測定した。
Gefinitib(EGFR阻害薬)のIC50値は、1.42~23μg/mlまで分布、Lapatinib(Tyrosine kinase阻害薬)のIC50値は、3.3~9.49μg/mlまで分布、Imatinib(PDGFR阻害薬, Tyrosine kinase阻害薬)のIC50値は、2.37~32.4μg/mlまで分布、Sunitinib(VEGFR阻害薬, Tyrosine kinase阻害薬)のIC50値は、1.65~8.95μg/mlまで分布、Sorafenib(PDGFR阻害薬, VEGFR阻害薬, Tyrosine kinase阻害薬)のIC50値は、2.57~9.81μg/mlまで分布、Tivantinib(c-Met阻害薬)のIC50値は、0.24~0.75μg/mlまで分布、5FU(DNA合成阻害, 標準薬)のIC50値は、0.79~4.95μg/mlまで分布していた。分子標的薬のIC50値は、5FUに比べ概ね高値(低感受性)を示すものが多く、膵癌細胞において単一のあるいは少数のシグナル伝達阻害が、増殖阻止に充分な効果を示さないことが明らかになった。観察された事実は、これまで複数の臨床研究で、分子標的薬が有効な臨床効果を得られなかった事実に良く合致するものである。その中で唯一、Tivantinibは11種の膵がん細胞全てに対し、比較的低いIC50値を示したことから、抗腫瘍効果が期待できることも推察されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

In vitro培養系の感受性確認は、計画通りに終了し、上述の成果を得た。獲得耐性細胞が計画通りに樹立されなかったため、実験系を再検討しているため、一部の計画に遅れが出ている。臨床サンプルは集積されており、臨床アウトカムと測定データとの関連を検討する予定である。

今後の研究の推進方策

平成24年度末に公表された大規模臨床試験(JASPAC-01)では、S1のGEMに対する優越性が明らかにされ、S1耐性因子の抽出は非常に重要であり、本研究の意義は飛躍的に増したと言える。S1耐性因子が抽出されれば、上述の臨床試験で明らかにされた優越性の恩恵を得る症例を選別できる可能性がある。さらに、これまで各種の分子標的薬の膵癌に対する有効性が検討されたが、有効性が確認されなかった。今年度得られた各種分子標的薬の細胞パネルに対する効果は、それを裏付けるものであり、その中で高感受性の薬剤(Tivantinib)が見出されたため、その効果を検討して行く必要がある。
臨床情報に関しては、前向き集積例の経過を追跡しつつアウトカム(再発・死亡)を確認し、半数以上のアウトカムが明らかになった時点で、蛋白発現プロファイルとの相関を検討する予定である。また、GEM/S1両薬剤の感受性・耐性のアウトカムとして、化学療法施行後に切除された症例の臨床病理学的データは重要であると考えられたため、当施設で施行されたGEM/S1術前化学療法施行例の臨床成績及び病理学的所見を合わせ追求する予定で
ある。また、抗癌剤耐性と腫瘍浸潤・転移は密接な関連があると考えられるため、膵癌の浸潤転移のメカニズムとの関連も合わせ検討して行く予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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