研究課題/領域番号 |
24592027
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
浅利 貞毅 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (20580682)
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研究分担者 |
松本 逸平 神戸大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (30379408)
新関 亮 神戸大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60444593)
後藤 直大 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (40580684)
福本 巧 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70379402)
具 英成 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40195615)
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キーワード | 骨髄細胞 / 間葉系幹細胞 / 膵島細胞 / I型糖尿病 / 移植 |
研究概要 |
まず、C57BL/6骨髄 (BMC)から接着細胞のみを継代し、5継代 (P5)以降の細胞を間葉系幹細胞 (MSC)としin vitroの実験に利用した。分化誘導メディウムを用い、(1)脂肪細胞、(2)骨細胞、(3)軟骨細胞に分化誘導されることを確認した。抗体を用いた表面マーカーの探索では、c-kit, CD34, CD45, CD11b, CD40L, FAS-Lが陽性、Sca-1, CD80が陰性でほぼ文献どおりであった。続いて、活性化させたBALB/c由来の脾臓細胞とC57BL/6由来のMSCを混合培養しリンパ球混合試験(MLR)を行った。脾臓細胞単独培養群と比較し、混合培養群では有意に脾臓細胞(リンパ球)の増殖が抑制されることを確認した。以上、マウスMSCのcharacterizationを行った。昨年度から本年度にかけてはin vivoの実験系を確立させるべく研究を進めた。現在、C57BL/6マウスから膵臓を採取し膵島細胞 (islets)の分離を最適化している。また、C57BL/6-MSCとBMCを用いてBALB/cレシピエント門脈に移植する予備実験を行い手技の安定化に努めている。これらと同時平衡で、新たにレシピエントの免疫抑制を最適化するため、2011年「Pancreas」にpublishした糖尿病未発症のNODマウスに尾静脈からC57BL/6-MSCとBMCを投与し、糖尿病の発症を抑制する実験系をリピートしている。NODレシピエントの免疫抑制に、従来通りanti-CD3 mAbを使用するレジメンと実際の臨床に即したanti-thymocyte globulin (ATG)を用いるレジメンを新たに作成し、BMC移植に必要な放射線照射量とともに、その投与量の最適化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、神戸大学肝胆膵外科で新たに開始したものである。遅れている理由として、 (1) 実験を遂行するマンパワーの不足 (2) C57BL/6骨髄からMSCの分離培養とその最適化が困難 (3) マウス膵臓から膵島細胞の単離とその最適化が困難 (4) マウス門脈から細胞を投与する手技が煩雑 (5) レシピエントに対する免疫抑制剤 (anti-CD3 mAb)の作成とその投与量の最適化が困難 が考えられる。 (2), (3), (4), (5)は、最終的に(1)に集約される。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終目標に変更はないので方向性を変更する予定はない。余力があれば、この移植実験系でMSCの免疫寛容の誘導に関わる抗原特異的抗体産生抑制現象を解析し、そのメカニズムを明らかにしたい。 上記課題の対応策として、 (2)に関しうまく推進しない場合は、神戸大学大学院iPS細胞応用医学講座に人材を派遣し、幹細胞のbiologyを学習し解決策を考慮する予定である。 (3), (4), (5)に関しては、臨床で膵島移植を行っている東北大学大学院外科病態学講座消化器外科学分野に人材を派遣し、そのノウハウを学習する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、マウス骨髄由来間葉系幹細胞 (MSC)の分離培養が遅れ、マウスを用いた移植実験導入が遅れたことによる。 来年度は、マウスを用いた移植実験が中心となるためマウスの購入に使用する。また、解析に必要な抗体を購入する予定である。
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