研究課題/領域番号 |
24592028
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
村上 義昭 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (10263683)
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研究分担者 |
上村 健一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 講師 (60379873)
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キーワード | 胆管癌 / 抗癌剤耐性 / 薬剤代謝タンパク / Gemcitabine / 5-FU |
研究概要 |
平成24年度までの研究結果から、Gemcitabine(GEM) based 化学療法を施行した胆管癌症例100例において、GEM代謝関連酵素であるhENT1, RRM1の2つがGEM代謝に重要な働きをしていることが判明した。また、hENT1, RRM1の2つの因子の組み合わせることで、GEM basedの化学療法に対する反応を予測することが可能で、多剤への切り替えなどの重要な情報になりうると考えられる。 胆管癌培養細胞によるin vitro での検討では、5-FU、GEM薬剤感受性試験(5-FU及びGEMを添加、MTT test)を行い、50%発育阻止濃度(IC50)が低値を示す細胞群(抗癌剤耐性)は、hENT1が低値でRRM1が高値を示した。本結果は、臨床症例と合致する所見であった。現在も、培養細胞における感受性試験を行い症例を蓄積しているところである。 in vivo実験では、GFP強制発現させた胆管癌細胞株を利用し腫瘍動物モデルを作成。in vivoイメージング下に腫瘍生着状態を観察。腫瘍径が一定に達したところで抗癌剤を投与し、腫瘍の変化とprolonged survivalを調べ殺腫瘍効果を検討している。同in vivoモデルにおいて、GEM代謝酵素に注目して腫瘍縮小効果について検討を行い、hENTタンパクの発現解析と抗腫瘍効果との関連、腫瘍内でのウイルス拡散程度を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度、25年度まで予定の研究内容を、スケジュール通り行っている。今後は、本実験の結果を踏まえた基礎実験を計画していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
申請者らは、膵癌を標的とした、抗癌剤感受性増強、および癌治療遺伝子導入による多因子制御プロモータードライブの制限増殖型腫瘍溶解性ウイルスベクターOncolytic HSV (HPC-HSV1)の開発に取り組んでいる(平成24~25年度 若手研究B、課題番号24790315)。 Oncolytic virusは癌特異的に作用する性質を利用し、ある治療効果のある遺伝子を癌細胞内のみで発現させるということが可能である。この基盤技術は、ヒトの固形がんにおいて複数個の治療効果のある分子を高濃度で腫瘍細胞特異的に発現させる(レポーター遺伝子の導入・発現)ことができる多機能医薬品開発の可能性を秘めている。 今後の研究課題として、ヒト胆管癌細胞の転移・再発におけるclonalityの解析、特に、抗癌剤耐性にかかわるGemcitabine代謝・transporter遺伝子に焦点をあて解析を行う。また、in vivoマウス・モデルでの腫瘍の血管内での移動・生着、転移巣形成過程における血中・転移巣形成に至る過程の腫瘍細胞の動態のイメージング解析、digital PCRによる癌悪性化、Gemcitabine代謝に関連する遺伝子(hTERT, DPC4など)の発現解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の使用が予定より少量で済んだため。 平成26年度の経費と併せて、in vtroにおけるGEM代謝発現の検討を行う予定である。
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