研究概要 |
膵癌における主要な3遺伝子異常(p16,TP53,SMAD4)とその臨床的意義に関する検討を行った。膵癌症例で3遺伝子(p16,TP53,SMAD4)の異常はそれぞれ、70%、81%、60%の頻度で検出された。各遺伝子異常と病理組織学的因子および術後経過、予後との検討を行い、p16が異常の膵癌では遠隔転移が多く、さらに癌の広範囲の進展に相関を認めた。また、TP53が異常の症例では腫瘍分化度が低く、術後の局所再発が多く認められた。SMAD4が異常の膵癌では腫瘍径が大きく、リンパ節転移を多く認めた。これらの遺伝子異常と臨床病理学的特徴は有意差を持って相関を認めた。 さらに主要3遺伝子(p16,TP53,SMAD4)の異常の総数が増えると予後は不良であり、遺伝子の異常の総数と全生存期間との間に有意な相関を認めた。
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