研究課題
【背景】 EZH2はポリコーム蛋白群の一つであり、ヒストン3リジン27 (H3K27)をトリメチル化することで遺伝子発現を抑制し、癌の進展に関与する事が知られている。特に胆管癌においてはEZH2がp16INK4a、p17KIP1の発現を抑制することで癌細胞の増殖を促進することが報告されている。今回、EZH2阻害剤である3-deazaneplanocin A (DZNep)を用いた薬物的EZH2阻害の効果と、胆管癌治療のキードラッグであるgemcitabineとの併用効果を検証することを目的とした。【方法】 胆管癌細胞株であるRBE及びTFK-1を用いて、DZNep単独投与及びgemcitabineとDZNep併用における1. EZH2発現抑制効果及びH3K27のトリメチル化の変化、2. 細胞増殖に与える影響、3. 細胞周期及びアポトーシスに与える影響、4. p16INK4a、p17KIP1の発現変化を検討した。【結果】 胆管癌細胞株において、DZNep単独投与ではDMSO投与群と比して、gemcitabine/DZNep併用ではgemcitabine単独と比して、1. EZH2の発現が低下し、3mH3K27発現の低下も認めた。2.growth assayにて有意な増殖能の低下を認めた。3. Flow cytometer を用いた細胞周期解析の結果、G0/G1分画の増加及びG2/S分画の減少を認め、G1-arrestを認めた。また、Pi/Annexin V二重染色を用いたアポトーシス解析の結果、アポトーシス細胞の増加を認めた。4. 蛋白レベルでのp16INK4a、p17KIP1の発現上昇を認めた。【結論】DZNep投与によりEZH2発現抑制を介した細胞増殖抑制効果を認め、さらにgemcitabineと併用することにより、相乗効果を示すことが示唆された。
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PLOS ONE
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