研究課題/領域番号 |
24592035
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
見城 明 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (40305355)
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研究分担者 |
土屋 貴男 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (70343390)
穴澤 貴行 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90566811)
後藤 満一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50162160)
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キーワード | 免疫療法 / 担癌状態 / MDSC |
研究概要 |
我々はこれまで膵癌治療の目的で、樹状細胞(dendritic cell: DC)や癌ペプチドワクチンを用いた臨床研究を行ってきた。DC療法は切除可能な症例を対象として術前に腫瘍内に未熟DCとOK-432の局注を行い、癌ペプチドワクチン療法は切除不能な進行・再発膵癌を対象とし行った。いずれの研究でも抗腫瘍効果を示唆する免疫学的応答を確認したが、治療効果との相関は明らかでなかった。担癌状態において免疫抑制に作用するとされるMyeloid-derived suppressor cells(MDSCs)と制御性T細胞(Treg)の関係に着目し、患者毎に異なる免疫学的環境の把握と、外科手術、化学療法によるその変化を解析し、免疫療法の効果が期待しうる環境を明らかにすることが目的である。 平成24年度より研究を開始し、①末梢血単核球分画からCD11b+, CD14-, CD33+の細胞を採取し、MDSCとして検討をおこなった。膵癌のみならず肝胆道悪性疾患患者において健常人と比較して、有意な増加していることを確認した。癌治療介入前後でのMDSCsの変化に関して、手術前後による比較を行い、症例は少ないものの術後病巣を摘出することによりMDSCsが減少することを確認した。②担癌患者の末梢血血清サンプルよりサイトカインを測定し、担癌状態は免疫抑制状態にある可能性が高いことが確認し、治療介入により免疫抑制状態に変化を与えうる可能性が示唆された。 MDSCsの単離を行い、遺伝子解析、サイトカイン測定を行い、細胞の特性を研究することで、患者免疫抑制状態を検討することが本研究の目的である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度も平成24年度と同様に、担癌患者からの検体採取を行い、MDSCおよびサイトカインに関する研究を継続した。①末梢血単核球分画からCD11b+, CD14-, CD33+の細胞を採取し、MDSCとして検討をおこなった。膵癌のみならず肝胆道悪性疾患患者において健常人と比較して、有意な増加していることを確認した。癌治療介入前後でのMDSCsの変化に関して、手術前後による比較を行い、症例は少ないものの術後病巣を摘出することによりMDSCsが減少することを確認した。②担癌患者の末梢血血清サンプルよりサイトカインを測定し、担癌状態は免疫抑制状態にある可能性が高いことが確認し、治療介入により免疫抑制状態に変化を与えうる可能性が示唆された。消化器癌患者におけるMDSCに関連した免疫抑制状態と低栄養状態が血清中のIL-17や血管内皮増殖因子(VEGF)との関連性について報告した。 達成度に対する評価であるが、担癌患者からのサンプル採取、患者PBMCを用いたFACSでのMDSCの解析、血清中サイトカイン測定は順調に進んでおり、治療介入によるMDSCの変化も解析を行い、結果を報告してきた。しかし、膵臓癌患者からのサンプルが少ないこと、MDSCの単離・培養によるin vitroの解析(核酸抽出、培養)が実施できていないため、現状ではやや遅れた状態である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究内容としては、膵臓癌患者末梢血中MDSCsの解析、治療介入のMDSCsへの影響の検討、臨床データとMDSCs解析結果の検討を行う予定である。また、末梢血よりCD11b+, CD14-, CD33+を有する細胞と制御性T細胞の割合を検討し担癌患者における細胞性免疫環境に関する解析を行う予定である。さらに、CD11b+, CD14-, CD33+細胞を単離し細胞のキャラクターを核酸レベルでも検討を行う。
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