研究分担者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
谷 眞至 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60236677) [辞退]
川井 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40398459)
岡田 健一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50407988)
宮澤 基樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (90549734)
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研究実績の概要 |
1)膵癌細胞のDNAとRNAの抽出:膵癌凍結サンプル20例から、マイクロダイセクションにより、膵癌細胞のみを回収した後、DNAとRNAを抽出し、網羅的遺伝子解析に用いた。 2)包括的DNA1次構造異常解析:上記で抽出した膵癌細胞DNAと、同一固体の正常細胞から抽出DNAを用いて、包括的DNA1次構造異常解析を行った。膵癌細胞で特異的にDNA1次構造異常解析を認めた領域は、Ch9p21.3, Ch18q21.1領域をはじめとする5領域にhomozygous deletionを認めた。またCh9p21.2, Ch17p13.3-p11.2領域をはじめとする多くの領域で、heterogenous deletionを高頻度に認めた。さらに、Ch18q11.1-q11.2, Ch1q21.1-q23.1領域をはじめとする領域に、copy数の増幅を認めた。 3)網羅的遺伝子発現解析:1)で抽出した膵癌細胞RNAと正常膵管細胞から抽出したRNAを用いて、網羅的遺伝子発現解析を行った。 4)包括的DNA1次構造異常解析と網羅的遺伝子発現解析の統合:包括的DNA1次構造異常解析にて、最も高頻度にhomozygous deletionとLOHを認めたCDKN2A, CDKN2B, SMAD4に関して、RNAの発現量を解析した。CDKN2AとCDKN2Bでは、homozygous deletion症例では、RNA発現がほとんど認めないものの、LOH症例では、正常膵管とほぼ同等の発現量を認めた。一方、SMAD4に関しては、homozygous deletion症例では、RNA発現がほとんど認めず、LOH症例では、正常膵管よりも有意に低発現量であった。このことから、CDKN2とSMAD4の、LOHに対するRNA発現メカニズムがちがうことが分かった。さらに、copy数の増幅を認めた領域の遺伝子のRNA発現は有意に高発現を示した。
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