研究課題
【目的】プロカルシトニン(以下、PCT)はカルシトニンの前駆蛋白として甲状腺のC細胞において生成されるが、近年、新しい信頼性の高い細菌感染症のバイオマーカーとして注目されている。しかしながら、急性胆管炎の診断にけるPCTの有用性についての詳細な報告は少ない。そこで、急性胆管炎の診断における血清PCT測定の意義を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は、胆汁うっ帯を呈し当院で入院加療を施行した60例。急性胆管炎診断のgold standardを、「1)胆汁培養が陽性であること、または、2)他の感染症が除外でき胆管ドレナージによって改善を示す」として、PCT高値(≧0.05)の診断能を発熱(≧37.5℃)、WBC上昇(≧9,800 /μL)、CRP高値(≧0.3 mg/dL)と比較した。【結果】対象症例の平均年齢は74.7歳で、男女比は7:8だった。原疾患は、総胆管結石31例、膵頭部癌13例、胆管癌7例、胆管空腸吻合術後3例、肝内胆管癌2例、IPMC3例、良性胆管狭窄1例だった。44例が急性胆管炎と診断された。重症度は軽症34例、中等症8例、重症2例だった。急性胆管炎診断の感度/特異度は、発熱:20.5%/100%、PCT:91.0%/25.0%、WBC:18.2%/93.8%、CRP:84.4%/56.3%だった。ROC曲線のAUCは、体温:0.746、PCT:0.746、WBC:0.698、CRP:0.807だった。胆汁培養は36例で陽性で、これら36例中、発熱を5例(13.9%)、PCT高値を32例(88.9%)、WBC上昇を8例(25.0%)、CRP高値を30例(83.3%)に認めた。【結語】急性胆管炎診断における血清プロカルシトニンの診断能は良好ではないが、胆汁培養陽性例で陽性となることが多く、感染の予測因子として有用な可能性がある。
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