研究概要 |
胆道癌は未だ有効な治療法の少ない、極めて予後不良な疾患である。近年、癌治療の新しい選択肢として癌ペプチドワクチンの開発が世界的に進められており、我々も胆道癌に対する癌ペプチドワクチン療法の臨床試験を実施しているが、最近の癌研究で癌治療において真の治療効果を得るためには癌幹細胞を標的とした治療が重要であることが示唆されている。そこで我々は胆道癌幹細胞に高発現する癌抗原を同定し、胆道癌幹細胞に対するペプチドワクチンの開発を目指して本研究を開始した。平成24年度ではヒト胆道癌細胞株であるIsCCを使用した実験を実施した。ヒト癌幹細胞では過去の研究報告より、CD13, CD24, CD44, CD90, CD133, CD166, CD326などの分子の発現が認められている。そのため、培養胆道癌細胞IsCCにおける癌幹細胞特異分子の発現をフローサイトメーターにて解析した結果、ほとんどの細胞でCD24, CD44, CD166分子が陽性であり、一部にCD13, CD90, CD133, CD326陽性細胞の存在が確認された。それぞれの細胞分画を分離するため、各抗体にマイクロビーズを結合して磁気を利用した細胞分離を行い、各分子の陽性及び陰性細胞分画を分離した結果、80%以上の純度にて分離が可能であった。各分画における胆道癌抗原の発現を解析する目的で、既知の癌抗原より胆道癌での発現が確認されているLY6K, IMP3, TTK, DEPDC1, CDH3, CDCA1, KIF20A, FOXM1, MELK, HJURP, WT1, GPC3, MUC1の13種類を選択してrealtime PCR用のプライマーを作成し、分離したIsCCの各分画での癌抗原の発現解析を進めている。
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