研究実績の概要 |
昨年までにCancer stem cellの微小環境構築にかかわる分子の網羅的検索のために膵癌患者自己抗体の同定や、Stem cell factorであるHedgehogシグナルに影響を与える因子として血糖降下剤metforminの同定を行った。Metforminは膵癌細胞BxPC3が分泌するHedgehogシグナルリガンドであるSonin Hedgehog (Shh)の分泌を抑制することが昨年までに同定された。 本年度はmetforminを介したShh分泌抑制がどのような経路で行われるかの解析を行った。Metforminの主な作用シグナルとしてAMPKの機能制御が知られている。そこでAMPK阻害剤がmetforminのShh分泌抑制作用に与える効果を検証した。In vitroで培養したBxPC3細胞を0μMから100μMのAMPK阻害剤であるdorsomorphinとともに共培養すると濃度依存性にShh mRNAの発現が低下し10μMでプラトーとなった。次にBxPC3細胞をmetforminとdorsomorphin両者の存在下で培養しShh mRNAの発現を計測した。1mMのmetformin単独存在下でShh mRNAの発現は低下したがdorsomorphinの10μMもしくは100μM存在下ではShh mRNAの発現が回復した。蛋白レベルでもmetformin存在下でのShh発現低下時にAMPKのリン酸化が低下することが確認された。HCT116, MKN-28, MKN-45, MKN-74, TMK-1の5種の癌細胞でさらにmetforminの効果を確認するとHCT116, MKN74, TMK1の3種の癌細胞株でmetforminによるShh発現低下が確認された。
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