研究課題/領域番号 |
24592044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
福田 和歌子 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (90598715)
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研究分担者 |
福田 幾夫 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50344594)
大徳 和之 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50374822)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 体外循環 / 末梢動脈送血 / 血流シミュレーション / 三次元血流解析 / アテローム塞栓症 / 脳合併症 / 脳塞栓 |
研究概要 |
平成24年度は大腿動脈よりの送血モデルを作成し、末梢からの送血による腸骨動脈及び大動脈内の流れを検討した。基礎的検討として動脈硬化性病変の少ない若年者先天性大動脈狭窄の患者の術前CT写真から、3次元大動脈~大腿動脈モデルをコンピュータ上に再現した。STAR-CDソフトウェアを使用して大腿動脈からの血流を再現した。入力条件は定常流で、腹部分枝および弓部分枝には血管抵抗を与えた。研究計画では、弓部分枝や腹部分枝の血流量を超音波検査で測定し、これに基づき血流分布を決定する予定であったが、個体差によるばらつきと、心拍出量によって異なることから、コンピュータシミュレーションモデルでは血管抵抗を与えることで、血流量分布が決定されるようなモデルに変更した。大腿動脈からの送血は、内径4mmカニューレ、5.2mmカニューレ、8mm人工血管吻合で行い、大腿動脈、腸骨動脈、腹部大動脈の血流速度と剪断応力を測定した。結果としては、4mmカニューレでは外腸骨動脈に最大172Paの大きな剪断応力がかかるが、5.2mmカニューレでは剪断応力は最大99Paと低かった。人工血管縫着では大腿動脈吻合部に127Paの大きな剪断応力が認められるものの、腸骨動脈全体の剪断応力、流速分布は小さかった。いずれのモデルでも、腹部大動脈に入ると流速、剪断応力とも低下していた。以上の結果から、若年者・非動脈硬化モデルにおいては、血管径の許すかぎり太いカニューレを選択することにより、腸骨動脈への血流負荷が少なくなると考えられた。 本検討は、研究計画の最終的な目標である、高齢者の動脈硬化病変例における末梢送血の影響を検討するための基礎的研究に相当する。腹部分枝や弓部分枝の血流抵抗負荷モデルを理論的に構築し、体外循環中の流速および剪断応力分布モデルを作成できることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、生体内での基礎的血流量分布の計測から、各分枝の血流量を決定してコンピュータシミュレーションの血流配分を決定する予定であったが、個体差が大きく、血流量の分布を一義的に決定することが困難であることがわかった。このため、方法を変更し、各分枝に血管抵抗を理論値として与え、血流量を様々に変化させて血管内の流速および剪断応力分布を求めるモデルとした。この点では、平成25年度の研究計画の一部まで進捗した状況である。
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今後の研究の推進方策 |
大腿動脈送血において送血管の太さ,人工血管を縫着した場合などで血流が直接流入する腸骨動脈における血流速度,壁にかかるせん断応力をコンピュータ上で検討する.動脈硬化モデルとして、腸骨動脈の蛇行と不整が著しい高齢者、腹部大動脈瘤合併例、胸部大動脈瘤合併例の患者CTから大動脈-大腿動脈モデルを作成し、コンピュータ上で各部位の血流ベクトルの方向、剪断応力、血流速度を計測する.腸骨動脈におけるせん断応力の大きさの分布を計測から,腸骨動脈の形態や太さによるアテローム性粥腫の剥離の危険性を計算する.これにより、どのような形態で大腿動脈送血が危険であるかを明らかにする。大動脈内の流線に注目し,腸骨動脈から逆行性に噴出した血液の流れがどの動脈分枝に流入しやすいかを検討し,脳血管への塞栓の危険率を理論的に推定する.
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次年度の研究費の使用計画 |
コンピュータシミュレーションの血流配分を決定する予定であったが、個体差が大きく、血流量の分布を一義的に決定することが困難であることがわかった。このため、方法を変更し、予定していたソフトレンタル料が発生しなかった。 三次元画像解析ソフトレンタル料300千円、流体解析ソフト100千円 旅費 国内50千円,海外 150千円
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