研究課題/領域番号 |
24592047
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安達 理 東北大学, 大学病院, 助教 (30375092)
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研究分担者 |
柿崎 周平 東北大学, 大学病院, 助教 (10547417)
齋木 佳克 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50372298)
熊谷 紀一郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80396564)
秋山 正年 東北大学, 大学病院, 講師 (80526450)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医学 / 免疫抑制 / 肺静脈狭窄 / ラパマイシン / 徐放 |
研究概要 |
当該研究計画のうち平成24年度は1)ラパマイシン徐放フィルムの作製、2)肺静脈狭窄モデルの作製であった。 1に関して、当教室の先行研究を参考にして、ポリL乳酸・カプロラクトン共重合体(P[LA/CL])を用いてラパマシン徐放フィルムを作製した。ポリL乳酸とカプロラクトンとの比率を数種類試作してみたところ、ポリL乳酸:カプロラクトンを50:50としたところ、フィルムの可塑性としては満足できるものであった。心臓背面の吻合部周囲で安定して配置できるかどうかは、未だ実際に動物(ブタ)の肺静脈への貼付をおこなっていないため今後の研究項目である 2に関して、生後1歳齢前後のブタ(25kg)を購入し、全身麻酔下・人工呼吸器下に左開胸し、左肺静脈とその周囲の解剖学的位置を把握した。左上肺静脈をテーピングし、血管鉗子にて遮断。切断部を45°程度ねじり、6-0モノフィラメント糸で端々吻合を行い、閉胸した。吻合部出血はないものの、麻酔からの覚醒後呼吸不全を起こし、長期生存例は得られていない。呼吸不全の原因としては、肺静脈狭窄の肺は左上肺だけであり大きな呼吸・循環障害になるとは考えにくいこと、外科的吻合直後の肺の状態は不良ではなかったことから、肺静脈狭窄による肺障害では無く、喀痰排出困難による呼吸不全と思われた。 以上、薬物徐放フィルムの作製は概ね計画どおりに成果を得られたが、ブタ肺静脈狭窄モデルの作製は急性期の乗り越えていないため計画通りではない。急性期の呼吸不全の原因の究明とその解決を探っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.ラパマイシン徐放フィルムの作製としては、ほぼ満足できるものが得られたが、実際に動物の肺静脈吻合部に安定して配置できるかどうかは、未だ確定的ではない。 また2.肺静脈狭窄モデルの作製に関しては、未だ施行後4週以上の長期生存例が得られておらず、長期例において果たして臨床で見られる肺静脈狭窄と同じ病理像が認められるかは不明である。 よって、全体的に24年度の研究の達成度としては、やや遅れている、と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
1)ラパマイシン徐放フィルムの作製に関して、作製した徐放フィルムを左上肺静脈に貼付し、固定可能かどうか検証する。 2)肺静脈狭窄モデルの作製に関して、安定して急性期を乗りきれるように、麻酔方法を速やかな覚醒が得られる薬剤に変更し、人工呼吸器の離脱のタイミングを調整する。また、周術期の喀痰量の抑制のため、開胸後より愛護的な操作で肺を保護するように改善することや、アトロピンなどを用いることで痰排出量を抑制して周術期の管理の改善を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、ブタの左上肺静脈狭窄モデルが安定して得られるように、動物実験を進める。左上肺静脈の切断・再吻合後、長期生存例が得られたら、4週・12週で超音波検査を行い、肺静脈の形態的・動態的検査を行った後、犠牲死させ肺静脈狭窄の程度を肉眼的・病理学的に評価する。 肺静脈狭窄モデルが再現性良く得られたら、ラパマイシン(80-8000μg)を含有した徐放フィルムおよびラパマイシンを含まない徐放フィルム(control群)を吻合部に貼付固定し、肺静脈狭窄抑制効果を検討する。 以上、次年度使用額は、当初計画していたブタ肺静脈狭窄モデルの作製を次年度も延長することによって生じたものであり、延長した肺静脈狭窄モデルの作製に必要な経費として平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
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