研究実績の概要 |
本症例は未だ確実な治療方法が確立していない予後不良な難治性重症虚血肢に対し、血管新生作用をもつバルトネラ菌を用いることで感染症を用いた血管新生により重症虚血肢の治療法を確立することが目的である。 本実験には長期生存する重症虚血肢モデルが必須であるが以前、家兎を使用した研究(Local treatment of Dacron patch graft infected with biofilm-producing Staphylococcus epidermidis using antibiotic-releasing porous apatite ceramic: an experimental study in the rabbit . Shimabukuro K et,al. J Vasc Surg. 2004 Jun;39(6):1361)の際に施行したパイロットスタディーにて文献に準じた家兎の大腿動脈結紮による重症虚血肢モデル作成を試みたがモデルはすべて作成直後に死亡したため長期生存する重症虚血肢モデルの作成が不可能であった。そのため比較的実験規模として扱いやすいラットを使用し虚血肢モデル作成を試みた。ラットの大腿動脈を単純に結紮下のみのモデルではすべてのモデルが死亡した。このため大腿動脈を一定時間遮断し再灌流とする虚血にて下肢虚血モデルの作成を試みた。結果としてラットモデルはそのまま死亡するか、生存するものの後日犠死させ下肢の病理組織を観察すると組織障害はほとんど認められず回復しているかのどちらかであった。さまざまな遮断時間(30、60、90、120、150、180、210、240、270、300分)を試みて虚血肢モデルの作成を試みたが結果としては同様の結果しか得られず本実験に必要な下肢虚血を来すモデルの作成は不可能であった。そのため期限内において再現性のある下肢虚血モデルの作成が不可能でありBartonella henselaeの筋肉内投与感染モデル作成まで至ることができなかった。
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