右心室はその解剖学的形態の複雑さから臨床的な右室機能の評価方法は確立されておらず、不可逆的となる時期について明らかにされていない。本研究では肺動脈弁閉鎖不全症の動物モデルを作成し、右心不全における継時的な心機能および組織学的変化についての検討を行った。イヌを用いた肺動脈弁逆流・右室拡大モデルを作成することに成功した。組織学的には右室心筋・左室心筋ともに、有意な変化は認められなかった。肺動脈逆流制御が不能であり右心機能の不可逆性の検討について目標に達せなかったが、本モデルは臨床条件に近い実験・観察および組織学的評価が可能であり、今後慢性的な肺動脈逆流および右心不全での病態解明に有用と考えられた。
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