研究課題/領域番号 |
24592068
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
木下 肇 徳島大学, 大学病院, 医員 (80611227)
|
研究分担者 |
北川 哲也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80240886)
北市 隆 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (20335813)
菅野 幹雄 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (70563807)
中山 泰介 徳島大学, 大学病院, 医員 (80582791)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 血管リモデリング / マクロファージ / Hif |
研究概要 |
【背景】動脈硬化やステント留置に伴う局所血管リモデリング形成過程において、血管およびその周囲組織の低酸素環境が、筋線維芽細胞の増殖や血管外膜における細胞外マトリックス成分の増加の一因と考えられている。血管リモデリングにおいて、免疫細胞の酸素分圧への適応は、その病態生理を制御する上で大変重要な位置づけになると考えられる。しかしながら、血管リモデリングの病態に低酸素環境が免疫応答に与える詳細なメカニズムは十分に理解されておらず、治療標的としての意義について考慮されていない。 【目的】動脈硬化や血管新生など血管リモデリングに関与する細胞群のHypoxia-inducible factor (HIF)がどのように機能し病態に関与するのかを分子レベルで理解するために、マクロファージ特異的にHIF-1α遺伝子を欠損した疾患モデルマウスを構築して、生理学的あるいは病態生理学的環境下に観られるHIFの機能解析を行った。 【方法】マクロファージHIF-1αノックアウトマウス(以下KO群)に対して機械的に下肢動脈障害モデルを作成し血管リモデリングの過程におけるHIFの役割をControl群との比較で解析し検討した。 【結果】Control群に比較してKO群では下肢動脈障害後に認められる新生内膜の増殖が有意に抑制され、また外膜周囲に浸潤するマクロファージの数も低下していた。 【結論】低酸素刺激によって誘導されるMacrophage HIFはMacrophage活性(遊走刺激、サイトカイン産生など)に関与しており、血管リモデリングの過程においてKey factorとなる因子であると考えられた。HIF 関連分子の発現制御を介して生体内の酸素代謝の恒常性を維持することにより、動脈硬化関連疾患を中心に様々な疾患の病態改善が期待できると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、Vivoの実験において、今回のテーマである血管リモデリングの評価に必要なWire Injuryモデル作成の手技の確立と、実際にそれを用いたモデルマウスでWire Injuryに伴う血管リモデリングの抑制がノックアウトモデル群の方で証明された。また、同様のモデルでの免疫染色において、マクロファージの浸潤がノックアウトモデルで有意な低下していたことが証明でされており、少なくともマクロファージのHif-1ノックアウトモデルが血管リモデリングに影響していることは証明された。
|
今後の研究の推進方策 |
次のステップとして、Vivoでとらえることができた現象を今度は、Vitroの実験系で再現できるようにしたい。血管リモデリングに寄与するところのマクロファージの増殖能であったり、遊走能、さらに炎症性サイトカインや動脈硬化関連ケモカインなどの産生に寄与しているかどうかをみる。検体に関しては、腹腔内マクロファージをチオグリコレート培地誘導にて回収したものを使用する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
Vivo実験をメインで進めいくうえで、昨年度同様にノックアウトモデルマウスを30匹前後を使用する予定である、そのほか、各種抗体を用いた組織染色並びにサイトカインの測定(Real time PCRおよびELIZAなど)に使用する消耗器具。特に免疫染色では蛍光2重染色を使用するため相応にコストもかかることが予想される・。 次年度への繰越額は前述同様、染色抗体、Migration assayキットなどに使用する予定である。
|