心移植後の慢性拒絶反応として移植心に生じる冠動脈硬化病変の病因は不明である。ドナー/レシピエント間の組織不適合による免疫刺激により生じるがその機序も明らかでない。ラット異所性心移植冠動脈病変発生モデルにおいて、移植心を一定期間後に取り出して、ドナーと同系のラットに再移植し、以降の再移植心への免疫刺激を回避する「戻し移植」モデルを確立。これにより移植後5日目までの免疫反応が重要であること、特に細胞性免疫の関与が重要であることを示した。またこのモデルによる免疫応答、病理組織、分子生物学的解析などを検討することにより、病変発生に必要な免疫機序、特にT細胞やマクロファージの関与について検討した。
ラット異所性心移植冠動脈病変発生モデルにおいて、移植心を一定期間後に取り出して、ドナーと同系のラットに再移植し、以降の再移植心への免疫刺激を回避することができるモデルを確立した。
病変発生における細胞性免疫の関与の仕組みや程度について理解し、特定の免疫応答を除去することで病変が回避できるモデルについて検討した。抗CD4抗体、あるいは抗CD8抗体投与により、レシピエントの免疫応答を特異的に除去した状態での病変発生を検討し、T細胞の病変発生への関与を認めた。また、レシピエントのマクロファージを除去することで病変の程度が軽減されることを確認した。
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