研究課題/領域番号 |
24592073
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
渡邉 善則 東邦大学, 医学部, 教授 (90210963)
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研究分担者 |
佐々木 雄毅 東邦大学, 医学部, 助教 (40385729)
藤井 毅郎 東邦大学, 医学部, 准教授 (80287531)
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キーワード | 人工血管感染 |
研究概要 |
人工血管感染は臨床においてきわめて重篤な合併症であり、感染血管の治療が困難であることに加え、最近が血管内に侵入する事により敗血症となる致死的な病態である。今まで人工血管素材への細菌の付着という観点からの研究はあるが、細菌の血管内への通過性という観点で研究した報告はない。本研究は、各種人工血管素材における外側から内側への細菌通過性の相違を検討する事で、血流感染に対する人工血管の感染抵抗性を明らかにする研究である。2012年度は2種類(エラストマーシールドダクロン、ゼラチンコーティングダクロン)の人工血管でVitroの人工血管感染モデルを作成、人工血管外側を細菌培養液に浸漬し、外壁から内壁に細菌が通過するまでの時間と菌量を測定した。また、電子顕微鏡で人工血管壁内に細菌の侵入を認め、Vitroモデルでの最近の人工血管壁への通過を確認した。エラストマーシールドダクロン人工血管は、電子顕微鏡での観察でエラストマー層の厚さが不均等であることが判明した。本来通過性は無いと考えられるエラストマーであるが、ところどころ欠損部を認め、エラストマーシールドダクロン人工血管における細菌による血流感染の原因となっていることが示唆された。現在、エラストマーシールドダクロン人工血管の作成時に、均等かつ欠損部の無いコーティング技術を検討中である。また、ゼラチンコーティングダクロン人工血管については、リファンピシンをボンディングした人工血管を作成し、感染機序と感染抵抗性を研究している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電子顕微鏡で観察した結果、細菌の侵入を阻止できる可能性のあるエラストマー層の厚さが均等ではなく欠損部も認めた。この理由として、人工血管の屈曲防止のためのクリンプ加工が影響している可能性が考えられた。本研究を科学的に証明するために、エラストマーが細菌の侵入を阻止できる仮説を証明する必要があり、屈曲防止のためのクリンプ加工を施していない人工血管の入手し、実験に取り掛かる準備中である。同時に。リファンピシンをボンディングした人工血管を作成し、感染機序と感染抵抗性の研究を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
実験時間を多くすることで実験の進展を促進し、研究成果が得られるようにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に実験モデルの構築に時間を要し研究の進捗が遅れた。平成25年度には研究が順調に推移したが、一部研究費が繰り越しとなった。 実験に必要な人工血管や消耗品に多くの研究費が必要だが、国内外の学会での報告や、研究の成果を学術論文として報告する費用にも用いる予定。
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