研究課題/領域番号 |
24592075
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
瀬在 明 日本大学, 医学部, 講師 (70350006)
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研究分担者 |
塩野 元美 日本大学, 医学部, 教授 (20170847)
中田 金一 日本大学, 医学部, 講師 (70328722)
吉武 勇 日本大学, 医学部, 助教 (60409034)
平山 篤志 日本大学, 医学部, 教授 (50459880)
笠巻 祐二 日本大学, 医学部, 准教授 (60318409)
中井 俊子 日本大学, 医学部, 助教 (80366591)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心房細動 / 心臓手術 |
研究概要 |
『研究1:心臓手術後の心房細動発生に影響を与える因子についての臨床研究』については、現在まで740例が登録され、その途中経過について日本胸部外科学会、日本冠疾患学会、日本心臓麻酔学会、日本心臓血管外科学会などのシンポジウム、セミナーなどで発表し、塩酸ランジオロールに関するpilot studyをJournal of Thoracic Cardiovascular Surgeryに報告しました。そのpilot studyの結果では、術後心房細動を発生した例は、塩酸ランジオロール群(塩酸ランジオロール単独群14.7%、塩酸ランジオロール+ビソプロロール群 9.1%、非使用群 35,3%とβブロッカー群で有意差に低率で、また虚血マーカーは、βブロッカー群で有意に低く、炎症マーカーである高感度CRP 、Pentraxin-3、ADMAもβブロッカー群で有意に低い結果であり、βブロッカーの抗虚血、抗炎症作用が心房細動の発生を抑制したと考えられました。740例の結果では、術後の心房細動発生は、塩酸ランジオロール使用例、hANP使用例で非使用例に比べ有意に少ないことを認めました。周術期に脳梗塞を発症した症例は1.5%で、発生例の82%に心房細動を認めました。術後の心房細動発生の危険因子として、高齢、KL-6>300、アンジオテンシン-II>10、術後最低ANP濃度<20、高血圧、頸動脈狭窄症、術前ARB非使用例、塩酸ランジオロール非使用例、hANP非使用例があげられました。 『研究2:心房細動患者に対するメイズ手術後の心房細動再発因子についての臨床研究』については、現在症例を蓄積中で、現在までに60例が登録され、調査中です。現在のところ、塩酸ランジオロールによる予防効果は認められませんが、hANP使用例の発生が少ない結果を認めていました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『研究1:心臓手術後の心房細動発生に影響を与える因子についての臨床研究』については、現在まで740例が登録され、『研究2:心房細動患者に対するメイズ手術後の心房細動再発因子についての臨床研究』については、現在までに60例が登録され、予定通りに両研究とも遂行出来ています。随時、途中経過については、主要学会で発表して行く予定で、論文についても症例がまとまり次第、報告出来る予定であります。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究結果から、術後の心房細動の発生には高齢者や心房の拡大などによる線維化が強く関与していることが明らかにされました。さらに炎症も強く関与している可能性も示唆されました。そこで炎症を惹起させる脂肪の関与も考えられるため、院内の臨床研究審査会の承認を得、研究1、研究2の登録症例についても術前にCT検査による心臓周囲の脂肪量測定、血液生化学検査での炎症マーカーを測定し、平成25年4月よりpilot studyを開始しました。以前より行っているデータと合わせて、さらに術後の心房細動の発生について解明できる可能性があると考えております。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は症例数も集まり、前年度に比べさらに研究結果が明らかにされてくると考えられますので、学会などでの発表も増えることが予想されます。提出しました研究費使用計画に合わせて、学会参加費、旅費、外部委託検査費用、論文作成費用などに使用する予定です。
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