平成22年7月の改正臓器移植法施行により、脳死下臓器提供は格段に増加したが、移植適応限界近くのドナー(マージナルドナー)からの提供がその大半を占めている。したがって移植後肺機能不全に陥る可能性が増加しており、安全に移植を行う方法の確立は急務である。我々は移植不可能と考えられているダメージ肺(心臓死ドナーを含む)を、体外循環回路を用い、生体外にて治療・蘇生し、新たに移植可能な臓器として蘇えらせることを目的とした蘇生肺移植研究を行ってきた。本研究は体外式肺還流回路を用い、移植前に移植後と同じ条件(再還流)することにより移植肺機能不全を未然に予測・治療することにより安全に肺移植を行う方法の確立を主目的とし、早期の臨床応用を目指す。動物実験や、技術スタッフの海外研修(スペイン、オーストラリア、カナダ)に外科および麻酔医師ナースを派遣し臨床応用のセッティングを確立してきた。また院内倫理委員会の許可取得そして手術室を含む院内体制の確立を行った。本年は実際の臨床例を行う予定である。
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