研究課題/領域番号 |
24592095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡本 龍郎 九州大学, 大学病院, 助教 (80568626)
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研究分担者 |
波呂 祥 九州大学, 大学病院, その他 (90546558)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 染色体不安定性 / 非小細胞肺癌 |
研究概要 |
[方針] ①DNA損傷応答(DDR)関連分子(Chk2, BRCA1, ATM等)の肺腺癌における発現異常、機能異常の有無を検討し、染色体不安性の関係を調べる。②非小細胞肺癌におけるCINと臨床肺癌におけるdriver遺伝子変異との関係を明らかにし、発癌・増殖における役割を解明する。 [方法]①非小細胞肺癌切除検体におけるDDR関連因子(Chk2, BRCA1等)のmRNA発現を解析する(qRT-PCR)。DDR関連因子の活性化レベルをリン酸化タンパクに対する免疫染色にて解析する。EGFR遺伝子、p53遺伝子,k-RASそれそれの遺伝子変異が判明している肺腺癌DNAサンプルを用いて染色体不安定性をSNP arrayにて評価し、他因子との関連を検討する。②EGFR遺伝子変異、K-RAS遺伝子変異およびp53遺伝子変異が判明している肺腺癌66例のパネルにおいてaneuploidyをレーザスキャンニングサイトメーター(LSC)法にて検討し、遺伝子変異との関係を検討する。 [現在までの経過]①腺癌症例66例においてBRCA1、Chk2遺伝子発現をRT-PCRにて解析した。59例で解析可能であった。Chk2免疫染色の条件設定を行った。SNP array CGHに20サンプルを提出: 構造変化の多いサンプル(%def>16%: n=8)をCIN+ 、少ないサンプル(%def<16%: n=12)をCIN-としたところ、CIN+のものはChk2発現レベルが高かった。②肺腺癌66例中32例LSC施行するも、解析の細胞数が少なく解析ができない状態であった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実際、臨床肺癌の手術検体のSNP-CGHにより、CINの程度に差があること、DNA損傷応答因子の発現量とCINとに相関関係があることが示されたが、CINと肺癌の再発や化学療法耐性との関与を検討することは現時点ではできていない。今後の検討課題である。 肺癌組織は、他の癌腫のサンプルと比較して細胞密度が低いため、レーザスキャンニングサイトメーター(LSC)法でのaneuploidyの検討に向かないことが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
SNP arrayは、1枚のアレイで数万から数十万カ所のSNPタイピングを行うことで、クロモゾームレベルの構造異常の検討や各部位におけるゲノムコピー数の定量が可能である。さらにSNP arrayを行う症例を増やすことにより、網羅的かつ詳細な構造変化解析を行う。 いろいろな種類のDDR関連因子の発現や活性化、driver mutationを検討することにより、CINの肺癌における意義を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
PCR、ダイレクトシーケンス、LCS、免疫組織化学染色、免疫蛍光化学染色、ウエスタンブロットによるタンパク質発現解析など、研究試薬や物品等の消耗品に使用する予定。 また、網羅的解析であるSNP arrayは外注解析を予定している。。 研究成果として、国内外の学会にて発表を予定している。国際学会では世界肺癌会議、国内の学会では肺癌学会、日本外科学会などを予定している。
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