研究概要 |
最終的に51例の多発肺腺癌症例、62例の単発肺腺癌症例、126例の肺癌以外の患者について遺伝子多型の解析を行った。① EGFR遺伝子多型と多発肺腺癌発生との関連性を検討したが、プロモーター領域のSNP(-216GT)とイントロン1のCAリピート数多型のいずれも有意な相関を示さなかった。② タバコ関連の代謝酵素のSNP(CYP1A1 rs1048943, rs4646903、CYP1B1 rs1056836, CYP2A13 rs1709084)のいづれも多発肺腺癌発生との間には有意な相関は示さなかった。③ エストロゲン関連の多型に関してはCYP19A1 rs10064, rs2470152、TTTA repeat多型については多発肺腺癌の発生との関連性は証明できなかった。唯一CYP19A1 rs3764221のAアレルが有意に多発肺腺癌のリスク因子となった。(adjusted OR (95% CI) = 4.38 (2.00-11.70), P=0.001) 以上の内容を論文に発表した。④ 正常肺から抽出したDNAにおいてゲノム全体の低メチル化の指標となるLNE-1遺伝子のメチル化をPyrosequence法を用いて定量したが、多発肺腺癌の発生とは有意な相関を示さなかった。しかし腫瘍部分の低メチル化が肺腺癌の予後に関連することを示し、論文に発表した。
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